トランプ米大統領は12日、「国家安全上」の理由で、シンガポールに本社を置く通信用半導体大手ブロードコムによる米同業のクアルコムの買収を禁止する命令を出した。
ホワイトハウスが同日に公表した命令文では、「買収は米国の国家安全保障を損なう可能性があるという確かな証拠がある」と示された。また「直接、または間接的な買収をすべて禁止する」とした。
米メディアは、トランプ大統領が、1170億ドル(約12兆4857億円)規模に及ぶ世界技術産業最大規模の買収案に介入し禁止したのは「異例だ」としている。
米当局は、クアルコムが買収された後、同社の次世代通信システム(5G )技術力の低下に懸念し、クアルコムの最大のライバルである中国のファーウェイ(華為技術)が今後世界5G規格の策定に強い影響力を発揮することに警戒を強めた。
米財務省管轄下の対米外国投資委員会(CFIUS)が今月4日、クアルコムに対して買収を慎重に審査する必要があるとして、買収をめぐる株主総会の開催を延期するよう要請した。
一方、大統領の命令により、今後クアルコムとブロードコムはCFIUSに対して、買収中止の書面資料を提出しなければならない。
ブロードコムは、買収成立後にクアルコムの研究開発などに毎年30億ドル、生産などには毎年60億ドルを投じると表明したばかりという。
ブロードコムは1991年米カリフォルニア州ロサンゼルスで創立されたため、米国企業だった。当時の社名がブロードコム・コーポレーション。
16年にシンガポール半導体大手のアバゴ・テクノロジーに買収された後、アバゴはより知名度の高い「ブロードコム」に変更し、ブロードコムの本部もシンガポールに移った。米メディアによると、大統領の命令が発表される直前、ブロードコムが本社を米国に移転する計画を早める意向を示した。
ブロードコムは4月3日までに本部を米国に移転し米国企業となれば、米当局の買収調査の対象から外れる可能性が高いと予測していた。
(翻訳編集・張哲)
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