湖北省十堰市張灣区は2月13日、市民が住宅を離れることを禁じる「戦時管理」命令を出した。新型コロナウイルスのまん延を阻止するための措置だという。
住民は、医療従事者、集団感染防止担当者、生活用品を配達する者を除き、住宅を出入りすることができないという。
「異例な措置」
同地域の防疫当局は、「選択の余地がない」とし、「異例の措置」だと明らかにした。この措置を2週間実施するという。延期の可能性もある。
同通達によると、政府幹部や集合住宅の管理者は、24時間の管理体制を敷くという。
また、政府関係者は、決まった時間に食料や生活必需品を各家庭に届けるように手配する。当局は価格を設定し、届ける商品の種類を決定する。
その数時間後、同じく湖北省に位置する大悟縣でも、同様に14日間の住宅封鎖が発令された。同当局者は、「要は外に出てはいけないということだ」と語った。
北京や上海など、中国全土の80を超える都市では、移動制限を導入している。
内モンゴルでも13日、不要な公共施設をすべて閉鎖するとの通達が出された。結婚式は中止され、各家庭から1人のメンバーだけが食料品を買いに行くことができるという。
「戦争状態」
北京市疾病予防管理センターの党委員会も13日、「戦時状態命令」を発表し、全党員に対し、大戦が差し迫っているとし「危機感と重要性を十分に認識するべきだ」と注意喚起を行い、「危機的な局面」で過失を起こさないよう求めた。
この命令では、相互感染を防ぐため、職員の不要不急な他部署への訪問を禁止している。可能であれば、電話などの通信手段を利用して、対面でのやりとりを減らすべきだとしている。
最近、北京に姿を現した中国の指導者・習近平氏は、集団感染に対して「全面戦争」を行っていると述べ、その中で住宅地が最前線にあると語った。
張灣地区の副区長である肖旭氏は、国営ラジオ「中国の声」に対し、武漢訪問歴のない同地区住民の感染が全感染例の80%に上昇したことから、2次、3次感染を阻止するために新措置に踏み切ったと語った。「戦時管理」という表現を選んだのは、事態の深刻さを強調するためだという。
中国メディアは同地区の感染状況は、全体から見れば、深刻ではないと報じた。
政治評論家の秦鵬氏は、「中国当局がこの地区で試験的にこの措置を導入している可能性が高いとみている。効果が出れば、他の地域でも実施する可能性がある」 と述べた。
肖旭副区長は、中国のラジオ番組の中で、このような措置は、国民が「徐々に慣れていく」ことができるようにするための方策のようだ、と述べた。
「心臓への攻撃も」
13日、湖北省に派遣された北京朝陽病院の童朝暉副院長は記者会見で、コロナウイルスの患者には重症の呼吸不全の発生率が高いと述べた。
同副院長は、「2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)と比べると、今回はより速く呼吸不全に陥り、酸素不足が顕著に現れる場合がある」と示した。また、このウイルスは患者の心臓も攻撃するため、治療が困難になると付け加えた。
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