内部告発者が大紀元に提供した、地方政府の2つの内部文書によると、武漢市を中心に、湖北省で中共ウイルス(新型コロナウイルス)による肺炎の発生に対応している最前線の若い政府職員たちに感染例が相次いでいる。
1つ目の文書「状況報告 2月17日付」によると、職員たちは病院施設でウイルス感染者や、体温検査のために多くの人々と接触し、多数の住民と定期的に関わっている。しかし、防疫のための装備は不十分で、簡単な手術用マスクを装着しているのみだという。
省内では現在、政府職員用の保護医療資源も不足している。また、人員も不足しているため、政府職員でウイルス性肺炎と診断された例が出ても、職場閉鎖や隔離されず、多くの若手人員は仕事を続けなければならないという。当局の安全規則によると、感染した人と密接に接触した人は14日間隔離措置が行われることになっている。
大紀元に提供された2つ目の文書は、湖北省政府内機関が作成した「監査日報」だ。これらは、湖北省トップの応勇党委書記に報告されている。王暁東省長と黄楚平副省長の署名がある。
2月6日、中国の孫春蘭副首相は湖北省当局に、感染者を見つけるために職員は各家庭を直接訪問し、すべての人の体温を記録するよう命じた。
2月19日の日報には、武漢市の栄華路建国町に17人の政府職員が派遣された。そのうちの1人の職員は中共ウイルス感染と診断され、病院で治療を受けたとの記録がある。
数日後、派遣チーム代表と副代表も、感染している可能性があることが分かった。このチームに関する最終記録には、17人のスタッフのうち7人が感染したとある。しかし、他の10人の濃厚接触者がいるが、市民の体温検査の仕事を続けなければならないという。
武漢市の礄口区水場町内の副責任者は、2月3日に症状が現れ始め、2月6日に診断で感染が確定した。人員不足のため、隔離することも休憩することもできないという。
武漢市武昌区の水果湖北環路町で、院長は感染と診断され、病院で治療を受けていたが、副院長も感染し自宅で隔離された。別のスタッフは亡くなった住民の自宅を訪れ、マスク以外の防護具を持っていない。
政府職員たちは「マスクを着用するだけで、他の保護具を使用していない」と報告書には書かれている。
物資の不足
提供された2つ目の文書「監査日報」は、武漢市の防疫機関本部が作成したもので、湖北省政府に報告された内部資料だ。本部は、若手の職員が住民の体温検査のために巡回しているが、防疫の物資が不足していると省に伝えている。これは、公式発表である「十分な物資がある」と矛盾する。
2月16日の時点で、防護服の在庫は1万6771着だが、1日あたりの必要量は7万7704着だった。N95マスクの在庫は2万755個だが、1日あたりの必要量は13万個。顔面保護シールドの在庫は6758個だが、1日あたりの必要量は1万5540個だったという。
文書作成者は、職員たちがより多くの保護資源と消毒製品を必要としていることを強調して訴えている。
1つ目の文書「状況報告」には、一部の検疫センターでは軽度の症状のある患者、医療スタッフ、感染確定者と密接に接触しているが無症状の人々は、隔離が行われていない。隔離された人々は、しばしばおしゃべりのために集まっている。
この報告には、省内のいくつかの検疫センターには医療従事者がいないと書かれている。
中央政府は2月10日以降、武漢市を含む湖北省における移動を厳しく制限している。住民は自由に外出できない。スーパーマーケットは、政府が承認した流通業者のみ商品を販売することが許可され、代理店は各家庭に商品を配送している。
街には、地域の共産党宣伝部が作成した横断幕に、外出禁止を意味するスローガンが道路脇に並び、その内容は過激なものが多い。たとえば「外へ出れば足を折る、話せば歯を折る」「マスクか呼吸器か、自分で選んで」「熱が出ても申告しない人は潜伏している人民の敵だ」など。
報告書には、いくつかの都市で、流通業者から十分な食料を受け取れていない問題が発生している。このため、一部の住民は家を出てスーパーマーケットに向かい、長蛇の列を作っているという。また、多くの有志住民が、高齢者や身障者のいる隣人を訪問して、食料や基本的な生活用品を渡している。
(EVA FU/翻訳編集・佐渡道世)
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