3月21日、防衛大学校(神奈川県横須賀市)では卒業式が行われた。陸・海・空自衛隊の将来の幹部自衛官となる今年の卒業生は本科、研究科合わせて約500人。出席した菅首相は祝辞で、複雑化する安全保障環境下で、同盟国や友好国の協力の必要性を強調し、4月予定の訪米を通じて日米関係の強化に取り組むと語った。
国分良成学長は祝辞で「国民の平和と安全を守る最後の砦である自衛隊の幹部を養成する唯一無二の最高学府を卒業することに、心からお祝い申し上げる」と述べた。今年はカンボジア、ラオス、モンゴル、ミャンマー、フィリピン、ベトナム、東ティモール、韓国、タイからの留学生29人も防衛大を卒業する。国分学長は「母国の平和貢献と日本との架け橋となることを期待する」と述べた。
新型コロナウイルス感染拡大防止のために、保護者や来賓の参列は控えられ、式典は動画サイトでライブ配信された。政府は、9年学長を務めた国分氏は3月末で退職し、後任は久保文明・東大大学院教授を充てることを発表している。
菅義偉首相と岸信夫防衛大臣が卒業式に出席した。菅首相は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、自衛隊の看護官など2万人が全国へ支援したことや、10年前の東日本大震災では、高い使命感を持って取り組んだ数万人の隊員たちの災害任務を労った。また、震災から1年後の世論調査では、自衛隊の活動を評価すると答えた人は97.7%に達したことを紹介した。
卒業式に参列した松川るい政務官は、恒例の帽子投げをSNSで紹介した。卒業生代表は「友よ、我々にとって本日は始まりである。いざ、さらば!」の声とともに、伝統の「帽子投げ」を披露した。松川氏は任命・宣誓式で「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託に応える」との服務の宣誓が行われると、「重い覚悟で日本防衛にあたる彼らに政治はちゃんと応えているか。私自身も決意を新たにした一日でした」と思いをつづった。
卒業を祝うため、陸・海・空の自衛隊航空機が学校上空を飛行した。
(佐渡道世)
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