3月23日、痛ましい事件が起きた。
バージニア州に住むパキスタン系移民のウーバーイーツ配達員モハマド・アンワーさん(66)が二人の少女に車を奪われ、殺害された。13歳と15歳の少女がアンワーさんをテーザー銃で撃ち、ハイジャックした車を加速させたところ、抵抗したアンワーさんが車から振り落とされて死亡した。
翌日のワシントン・ポスト紙の報道は以下の通り。
「…ワシントンDC警察のチャド・レオ刑事によると、13歳が助手席から手を伸ばしてエンジンキーを回し、ギアを『操作』。開いた運転席のドアからアンワーさんが『車外にぶら下がった』状態で車が急発進し、加速して右に急旋回した後、縁石にぶつかって横転した。アンワーさんは放り出されて骨折し、頭部にケガを負った」
私の知る限り、少女らが黒人だったことを報じた主流メディアはない。
ワシントン・ポスト紙は少女たちの人種については一切触れず、「13歳と15歳の少女2人が重罪殺人で起訴された」とだけ伝えている。
CNNも同様に、人種については触れていない。「ウーバーイーツの車を乗っ取り、運転手を死亡させた事件で、10代の少女2人が起訴された…13歳と15歳の少女らは、アンワーさんの車をハイジャックする際にテーザー銃で攻撃した…年下の少女はワシントンDC南東部の出身で、年上の少女はメリーランド州フォート・ワシントンの出身だと警察は話している」
ニューヨーク・タイムズ紙はこの事件を取り上げもしなかった。
なぜ、この報道が私の目に止まったのか。それは加害者が白人の場合と全く違うからだ。白人が殺人を犯した時、我々は常にその情報を繰り返し聞かされる。メディアはまず彼が白人であることを伝え、執拗に言い続ける。白人の警察官が黒人を殺した場合も同様だ。ミズーリ州ファーガソンで起きた黒人青年射殺事件のように、それがいかに正当な行為だったとしても、警官が白人であることが強調される。警察官による射殺事件は、(そのほとんどのケースが)常に道徳的にあいまいだが、警察官が白人であることは強く認識させられる。アトランタにあるマッサージ店での銃撃事件についても、ニューヨーク・タイムズ紙はいち早く「容疑者は白人」と報じている。
主流メディアの使命は真実を報道することではなく、民主党や左派と共に、白人を人種差別主義者に仕立てることである。非白人が非白人を攻撃した事件は彼らの「ストーリー」に合わないため、都合の悪い部分は省く。もっと悪いことに、「加害者は白人」という事実とは異なる認識を与えることもある。
例えば、ニューヨーク・タイムズ紙はアジア系アメリカ人に対する憎悪犯罪(ヘイトクライム)を次のように報じた。「1月、地元テレビ局はサンフランシスコのアンザビスタ地区で朝の散歩をしていたビチャ・ラタナパクディー氏(84)に向かって若い男が疾走し、彼を激しく押し倒している映像を放送した。彼は後に死亡した」。犯人が19歳の黒人男性だったことは、どこにも書かれていない。タイムズ紙は、高齢のアジア系アメリカ人を殺害したのは白人であると読者に印象付けたかったようだ。
真実は保守派とリベラル派の大切な価値観だが、左派の価値観ではない。
別の報道を紹介しよう。
先週、アルビオン大学で「反黒人・反ユダヤ人」を扇動する落書きが発見された。警察によると、犯人は白人の人種差別主義者ではなく、白人憎悪を煽るための黒人による犯行であることが分かった。デトロイト・フリー・プレス紙は「人種差別の落書きでアルビオン大生が停学」と伝え、犯人が黒人であることには触れなかった。
アメリカは左翼の嘘に引きずり込まれている。「正義」が「社会的正義」に置き換えられ、この国はもはや窒息寸前だ。大人顔負けの罪を犯した2人の少女は、成人と同じように起訴されることもなく、おそらく懲役刑にもならず、罰せられることもないだろう。名前が公表されていないアルビオン大学の学生も処罰を逃れ、事件は忘れ去られるだろう。
(文・Dennis Prager/翻訳編集・郭丹丹)
執筆者:デニス・プラガー(Dennis Prager)
ラジオ・トークショー司会者でコラムニスト。
※寄稿文は執筆者の見解を示すものです。
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