アメリカ連邦議会下院は22日、首都ワシントンD.C.(以下、特別区)を同国の51番目の州にする法案を賛成216票、反対208票の僅差で可決し、上院に送付した。特別区は民主党支持者が多いため、州に格上げとなれば、新たに民主党の上院議員が2名誕生する可能性が高い。同様の法案は昨年にも提出されたが、上院で否決された。
法案は、特別区が合衆国の第51番目の州になることを反映して、「H.R.51」と名付けられている。この法案を提出したのは民主党の下院議員エレノア・ホルムズ・ノートン氏だ。
ナンシー・ペロシ下院議長(民主党)は投票に際し、「ワシントンD.C.州を認める法案を可決することにより、歴史的な不正を正す」準備ができたと述べた。
同法案についてはバイデン大統領も賛成を表明している。
いっぽう、特別区を州に格上げすることについて、共和党からは違憲であるとの見方も出ている。検察官出身の共和党議員ジェームズ・コーマー氏は下院議会で「ケネディ大統領の時代からオバマ大統領の時代に至るまで、司法省は、特別区に州としての地位を与えるには憲法改正が必要だとの認識を貫いてきた」と述べた。
そして司法省による研究を引用し、「特別区が州として認められる前に、憲法の改正が必要になるだろう」と述べた。
特別区の人口は約70万人で、民主党支持者が圧倒的に多い。特別区を州に格上げすれば、民主党の上院議員が新たに2名誕生することとなる。そのため、民主党はこの効果を期待して同法案を推し進めているのではないかとの批判が共和党から出ている。
(王文亮)
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