中国では、K-POP(韓国の大衆音楽)を無断で模倣する問題が深刻化している。これを受けて、韓国の文化体育観光部(以下、文体部)は21日の声明で、盗作の証拠を収集し、著作権侵害行為の責任を追及すると発表した。
21日付の聯合ニュースによると、文体部は現在、韓国音楽著作権協会、韓国音楽実演家連合会、韓国レコード産業協会などの音楽信託管理団体を通じて、中国のレコード会社が韓国歌手の曲を無断でリメークし、YouTubeに原曲として登録しているという情報を入手し、証拠を集めている。
韓国音楽著作権協会は18日の声明で、韓国の女性歌手IUの「朝の涙」、男性デュオBrown Eyes(ブラウン・アイズ)の「もう一年」、女性歌手ユンナの「待ちながら」など、数々のヒット曲を中国側が無断でリメークし、YouTubeにアップロードしたことで、韓国のレコード製作者や歌手に支払われるべき著作権使用料(ロイヤリティ)を盗んでいると批判した。
K-POPだけでなく、中国による韓国バラエティ番組の盗作も深刻だ。韓国の放送通信委員会などが2018年に行った調査によると、中国に盗作された韓国バラエティ番組の数は34本で、当時の中国の人気バラエティ番組をほぼ網羅していた。その中には、中国で何シーズンも続く「国民的超人気バラエティ番組」となり、海外に輸出されているものもあるという。
中国の主要テレビ局で放送されている人気バラエティ番組には、「奔跑吧兄弟(走れ兄弟)」や「爸爸去哪儿(パパ、どこ行くの?)」「我是歌手(私は歌手)」など、ほとんどが韓国で生まれたもの。韓国放送局MBCは、2015年から放送されている上海東方衛視の「極限挑戦」が、韓国の「無限挑戦」を盗作したと番組内で指摘した。
また、韓国の文化日報によると、中国の動画配信サイト「愛奇芸(iQIYI)」でヒットした「偶像練習生(アイドル研修生)」は、韓国の「プロデュース101」に酷似している。湖南衛視テレビが制作・放送しているバラエティ番組「向往的生活(フィールドに戻る)」と「チャイニーズ・レストラン」はいずれも、韓国の有名プロデューサーであるナ・ヨンソク氏が制作した人気バラエティ番組「三食ごはん」と「ユン食堂」をそのまま盗作したもの。
2018年初め、韓国は中国の「模倣バラエティ番組」の責任を追及する法案を可決したが、ほとんど成果はなかった。中国側は盗作をやめないだけでなく、続々と模倣番組の新シーズンを企画している。
2016年の高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備で中韓関係が悪化した後、中国政府が韓国の映画やドラマ、バラエティ番組の権利導入に制限をかけたことで、中国の盗作がより一層深刻な事態となっている。また、中国当局が、一貫して著作権侵害の行為を見て見ぬふりをし、有効な対策を講じようとしないことが主な原因であると考えられている。
(翻訳編集・王君宜)
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