中国における人権侵害行為を非難する国会決議の成立を求めて、少数民族や人権団体の代表者らが8日、衆議院議員会館で記者会見を開催した。日本ウイグル協会やSMGネットワークなど13団体が共同声明を発表し、ミャンマー国軍非難決議を歓迎するとともに、対中非難決議案の採択を促した。会見後、代表者らは高市早苗議員ら数名の国会議員に声明文を手渡し、決議案への支持を求めた。
試される国会議員の倫理観
対中非難決議の成立に向けた動きは、今年の年初から始まった。有志者の強い働きかけや微妙な党内派閥間の調整を経て、日本の「積極的な人権外交」を推す声が高まった。
新疆ウイグル自治区における人権侵害の報道が相次ぎ、同問題に取り組む超党派議員の動きも活発になった。関係者たちは、対中決議案を4月上旬の菅首相訪米までに成立させることを目指した。しかし、政党間の意見がまとまらず、決議案の文言から「中国」を削除することになった。
5月に提起され短時間で採択されたミャンマー国軍非難決議には、「現体制の正当性は全く認められない」「不当に拘束された国内外の人々の即時解放」といった強硬なメッセージが含まれる。いっぽう、対中非難決議は、国際社会で日本の人権尊重の姿勢を示すことへの重要性を強調した内容だ。
徐々に「軟化」していく中国人権決議案について、日本ウイグル協会のグリスタン・エズズ理事は記者会見の場で、「人権を重んじるという意思があれば、われわれを人間として認識しているのであれば、中国の人権問題を非難する決議案を採択してほしい」と、目に涙を浮かばせて訴えた。
そして「(中国の人権問題に)国際社会が一致団結して対処しなければならない。自分の身に危険が及んだときに後悔しても遅いのです。難しいと思いますが、今こそ行動を起こすときです」と述べた。
南モンゴルクリルタイのチメド・ジャルガル副会長は、中国共産党政府は長年残酷な行為を行ってきたが、諸外国はいまだ中国に対して強く制裁することができない現状であると指摘した。そして「独裁国家との友好関係は、国民と国民の友好関係ではなく、独裁者との友好関係だ。(中共と)友好関係を持つことは、独裁者を守ることになる」と強く訴えた。
今国会中に成立を
インド太平洋人権問題連絡協議会事務局長の石井英俊氏は「このまま今国会が終わることは認められない。政治スケジュール的には可能なはずだ。3月から議論されてきた国会決議を今国会で成立させることを強く求める」と述べた。
チベット人代表として記者会見に参加したテンジン・クンガ氏は、チベット人だけではなく、多くの中国人も中国共産党を反対していると指摘した。そして、「日本は経済や技術など多くの面でアジア随一の国だ。日本が立ち上がらないと、他の国はなにもできない」と述べ、日本の国会が対中決議案を採択する重要性を強調した。
在日香港人のウィリアム氏は、国会がミャンマー国軍非難決議を採択したことを歓迎しつつ、問題発生から4か月もの時間を要したことを問題視した。また、日本に必要なのは人権侵害に対処できる普遍的な法律だと訴えた。そして中国の人権問題を非難する国会決議を早急に採択するよう求めた。
記者会見後、人権活動家たちは高市早苗衆議院議員や中谷元衆議院議員などに面会し、声明文を手渡して支持を求めた。
(王文亮)
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