米軍内部でのマルクス主義的思想や批判的人種理論の拡散を非難した将校が指揮権を解かれ、除隊処分となったことが明らかになった。バイデン政権下では、軍人も多様性や包括性などを受け入れることが求められており、反対意見を口にすることも困難だという。いっぽう、複数の共和党上院議員はこの事態を危惧しており、マルクス主義は歴史のゴミ箱に葬り去られるべきだとの意見も出ている。
軍内部の問題を指摘したのは米宇宙軍に所属するマシュー・ローマイヤー(Matthew Lohmeier)中佐だ。ローマイヤー氏は大紀元のトーク番組「American Thought Leaders」に出演した際、自身が9月1日をもって除隊になると述べた。
米宇宙軍の発表によると、宇宙作戦司令部のスティーブン・ホワイティング(Stephen Whiting)中将は5月、「指導力に対する信頼と確信を失ったため」ローマイヤー氏の指揮権を解いた。ローマイヤー氏は、米軍におけるマルクス主義や批判的人種理論の広がりを警告する本を出版し、ラジオ番組でその宣伝を行った。米軍は軍人の政治的中立を要求しており、このことが処分の根拠とされている。
いっぽう、ローマイヤー氏は本紙に対し、自身の著書も発言も政治的に偏ったものではないと述べた。「マルクス主義的イデオロギーの存在と批判的人種理論について語ることは、なにも政治的に偏っているというわけではない。逆に、私たちは一致団結してそれらに立ち向かうべきなのだ」。
そして、書籍を書く前に軍隊内の苦情申立てシステムを利用しようとしたが、うまくいかなかったという。
一連の騒動に関して、上院軍事委員会のジム・インハーフ(Jim Inhofe)委員長(共和党上院議員)をはじめ、複数の議員が反対意見を表明した。
インハーフ氏は「上院軍事委員会がこれまでに入手した情報と報道された内容を見て、私は危機感を抱いている 。軍人は、マルクス主義に反対する意見を述べることを許可され、その上、既存の規則や法律に違反しない限り、 奨励されるべきだ。マルクス主義はアメリカと相いれないイデオロギーであり、 かのレーガン大統領の有名なスピーチにあるように、『歴史のゴミ箱に打ち捨てられるもの』なのだ」と語った。
ローマイヤー氏は除隊後、講演やコンサルティングなどを行う予定だ。ここ数カ月、さまざまなイベントや会議への招待状が続々と届いているという。「軍服を着ていなくても国家に貢献することはできる。もしかすると軍人でいたとき以上に活躍できるかもしれない」。
この一連の動きについて、米宇宙軍と米空軍からはコメントを得られていない。
(翻訳編集・田中広輝)
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