中国人ジャーナリストの羅昌平氏(40)は、朝鮮戦争を題材にした反米映画『長津湖』に疑問を呈したとして、7日、警察に拘束された。
海南省三亜市公安局吉陽支局8日の発表によると、羅氏は中国版ツイッター微博(ウェイボー)で「反米戦争の英雄を侮辱する」コメントをしたため、「英雄烈士の名誉を侵害した」疑いで刑事拘留されている。
同市検察当局は同日、立件を発表した。
羅氏は6日の投稿で、約200人の兵士が凍死した「長津湖の戦い」について、「当時、上層部の『賢明な判断』に疑問を持たなかったように、半世紀後の今も戦争の正当性について反省する人はほとんどいない」と指摘した。
羅氏は投稿文で凍死した兵士を指し示す際、「愚か者」を意味するインターネット用語を使用した。
投稿後まもなく、中国共産党の青年組織「中国共産主義青年団(共青団)」の微博アカウントや人民解放軍日報などの官製メディアが、羅氏が英雄烈士を侮辱したとして、批判記事を掲載した。羅氏の微博アカウントも閉鎖された。
羅昌平氏は、中国の複数のメディアで首席記者や編集長を務めてきた。2013年、中国共産党高官の汚職に関する調査報道が評価され、国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナルから毎年恒例のインテグリティ(清廉)賞を授与された。
1950年6月末、北朝鮮軍は38度線を越え、韓国への侵略戦争を開始した。同年10月、中国共産党は毛沢東の決定の下、「米国に抵抗し、自国を守る」「自衛戦争」という大義名分を掲げ参戦した。中国共産党は長年にわたり、「侵略戦争は米国を中心とした国連軍によって行われた」と主張し、参戦を正当化してきた。
長津湖の戦いは、朝鮮戦争における主要な戦闘である。1950年11月、中国陸軍第9軍団は朝鮮半島北東部の長津湖に入り、2万6000人の国連軍を15万人で包囲した。激しい戦いは17日間に及んだ。結局、国連軍は包囲網を破って退却した。
中国軍の死傷者数は4万8156人にのぼった。寒冷地での戦闘経験がなかったため、1000人以上の兵士が凍死した。うち約200人の3つの中隊が全滅した。
中国メディアの報道によると、9月30日の公開以来、『長津湖』は7日午後9時頃の時点で、興行収入が33.9億元(約590億円)を記録した。
中国共産党中央党校の元教授で、米国在住の蔡霞氏は7日、「反米や好戦的な国民感情を煽るための映画だったが、朝鮮戦争の真実を探求するブームを巻き起こした」とツイートした。
(翻訳編集:王君宜)
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