中国共産党が良心の囚人を殺害し、その臓器を販売するという蛮行に対して、欧米の政治家が非難を強めている。NGO団体が主催したオンライン形式の国際サミットに出席した英国の元保健相フィリップ・ハント卿は、臓器の強制摘出を「最も凶悪な犯罪のひとつ」であると糾弾し、英国民がその犯罪行為の共犯とならないよう立法を進めていると述べた。
臓器強制摘出は「最も凶悪な犯罪のひとつ」
国際サミットは9月17日から26日にかけて、国際的なNGO「強制臓器摘出に反対する医師の会(DAFOH)」等が主催した。
フィリップ・ハント卿は「臓器の自発的な提供は命を救う尊い行為だが、臓器の強制摘出は商業化された殺人であり、間違いなく最も凶悪な犯罪のひとつだ」と述べ、各国はこの問題を野放しにすることなく対処するよう呼びかけた。
ハント卿は立法にも取り組んでいる。自国民が中国へ渡航し、臓器の強制摘出の共犯とならないよう、「臓器ツーリズム及び死体の展示に関する法律(Organ Tourism and Cadavers on Display Bill)」の制定を目指す。ハント卿は、この法律で「(英国人が)中国のような国家へ渡航し、臓器移植術を受けられないようにする」と述べた。
同様の法案はすでに米国議会でも提出され、下院では共和党と民主党の計31議員が支持を表明している。法案が成立すれば、米政府は、臓器を違法に購入した者のパスポートを取り消すことができるようになる。さらに、臓器の強制摘出の疑いがある国家への手術設備の輸出が禁止される。
中国では諸外国と比べて、医療倫理上考えられない早さで移植用臓器が提供される。いっぽう、臓器のドナー登録制度は不完全であり、臓器は非正規的のルートから調達されたのではないかとの疑惑が絶えない。
米国務省が今年5月に発表した「世界の信教の自由に関する2020年版報告書」では、中国共産党当局による法輪功学習者など良心の囚人に対する強制的な臓器摘出を調査した2つの報告書が取り上げられている。
そのうち「共産主義の犠牲者記念財団」が作成したものによれば、中国の移植市場で取引されている臓器の供給源は、法輪功学習者とウイグル人など良心の囚人の可能性が極めて高いという。
中国共産党の価値観に立ち向かう意義
フランス上院の外交・防衛・軍事委員会の副委員長であるアンドレ・ガットリン(André Gattolin)氏は、一部の政治家は中国共産党の脅迫を恐れるあまり、沈黙していると指摘する。
「中国で起きている臓器の強制摘出に関して疑問を投げかければ、北京からの商業的・政治的な報復に遭う」リスクは高いとガットリン氏。「沈黙せざるを得ないのはフランスだけではない」。
米国のスティーブ・シャボット下院議員(共和党)は、中国共産党による強制臓器摘出を「人類史上最も野蛮な行為」だと指摘。中国共産党の人権に対する態度と見解が世界中に広がれば、「暗黒の未来」になると警鐘を鳴らした。
「中国共産党の価値観が浸透した世界では、党の方針に従わない人々が強制収容所に入れられたり、臓器を摘出されたりするだろう」とシャボット氏は述べた。
「そのような世界を誰も望まないだろう。そして私たちが今立ち向かっているのは、まさしくそのような価値観なのだ」。
(翻訳編集・王文亮)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。