茂木敏充外務大臣は先日都内で開催された有識者会議に宛てたビデオメッセージのなかで、米国が環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)に加わりインド太平洋地域の安定を支援するよう呼びかけた。
茂木氏は23日、都内で開かれた日米有識者会議「富士山会合」(日本経済研究センター・日本国際問題研究所共催)にビデオメッセージを寄せた。そのなかで「米国もTPP復帰を含め、地域の経済秩序の構築に関与することが重要」だと述べた。
米国は当初、この協定の発効に向けて中心的な役割を果たしていたが、トランプ前政権の2017年に加盟を撤回した。
茂木氏はまた、日本、米国、オーストラリア、インドの首脳が4カ国戦略枠組み「クアッド」による地域の役割と関係の深化を強調し、将来的にASEANや欧州を含む他国との具体的な協力を推進していく考えを示した。
対中姿勢については、協力できる面では協力をするが、民主主義、法の支配、自由貿易などの基本的な価値や原則は固持すると述べた。また、中国が大国としての責任を果たすよう働きかけることが重要だと付け加えた。
そして、中国の「一帯一路」構想に基づくプロジェクトが、公開性や透明性、ライフサイクルコストに見合った経済性、債務の持続可能性など、国際的な基準を満たした形で実施されるかどうかを、国際社会は注視するべきだと訴えた。
茂木氏は、中国が気候変動、世界貿易機関(WTO)、開発金融などの分野で途上国としての地位を利用して利益を得ていると批判した。「今や世界第2位の経済大国となった中国の発展を、国際社会が支援し続けるという歪んだ構造を是正しなければならない」と強調した。
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