ブリンケン米国務長官は10日、中国が先月、米国際宗教自由委員会(USCIRF)の委員長ら4人を制裁対象に指定したことについて「普遍的な権利に対する侮辱だ」と批判した。中国側は、新疆ウイグル自治区の人権侵害に関与したとして米国が同自治区の元高官らを制裁対象に指定したことへの対抗措置だと主張している。
ブリンケン氏は声明で「人権擁護のために発言する人々を威嚇し、沈黙させようとする中国の継続的な試みは、新疆ウイグル自治区で進行中の大量虐殺と人道に対する罪への国際的な監視を強めることにしかならない」と中国を牽制した。
さらに「ウイグル系米国人活動家の家族を投獄したり、移動の自由を厳しく制限したりする強制的な行為など、国境を越えた抑圧行為をやめるよう」求めた。
新疆ウイグル自治区では100万人を超えるウイグル人や少数民族が恣意的に拘束され、不妊手術や強制労働、中国共産党への服従を強いる「再教育(洗脳)」が行われていると人権団体などから指摘されている。米国は同自治区での人権侵害を「ジェノサイド」であると認定し、北京冬季五輪に政府当局者を派遣しない「外交的ボイコット」を表明した。
また、米国はこの1カ月間、新疆ウイグル自治区での人権侵害に関与したとして、中国の42企業・団体を新たに制裁対象に指定するなど締め付けを強化した。昨年末には、同自治区からの輸入を全面的に禁止する法案を成立させた。
中国の人権侵害に世界的な反発が高まるなか、中国国営メディアの新華社通信はニューヨークのタイムズスクエアで、新疆ウイグル自治区を「甘い果物」と「幸せな生活」がある場所と紹介するビデオ広告を掲載。大紀元の取材に応じた世界ウイグル会議のイルシャット・コンボレ執行委員会副委員長は「大量虐殺の告発を隠蔽する」試みだと批判した。
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