米議会の「中国に関する議会・政府委員会」は12日、新疆ウイグル自治区で強制労働により生産された新疆綿が五輪関係者の衣類に使用される恐れがあるとして、国際オリンピック委員会(IOC)に対し、中国メーカー2社との契約情報開示を求めた。北京冬季五輪のIOC関係者などが「強制労働によって『汚染』された衣服を着用する可能性がある」と懸念を表明した。
委員会が問題視した2社は中国の大手スポーツ用品メーカー・安踏体育用品(アンタ)と、大手繊維メーカーの恒源祥だ。委員会は12日付のIOC宛て書簡で、強制労働はないとする両社の主張を認めた根拠を示すよう求めた。両社は北京冬季五輪の公式スポンサーとしてIOC関係者らにユニホームなどを提供する。
両社は、これまで新疆産の綿使用を公言してきた。恒源祥は中国の電子商取引プラットフォーム上で「3000時間日光に照らされた高品質の新疆綿」と自社製品を公然と宣伝している。しかし、同社がIOCに提出した「原産地証明書」には、外国産と記載されていた。
国際人権NGOビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)によると、持続可能な綿花の生産を目指す非政府組織(NGO)「ベター・コットン・イニシアチブ」が新疆綿の認証を撤回したことを受けて、2021年、アンタは同団体を脱退した。
スコット・ペリー米下院議員らは昨年6月、米プロバスケットボール(NBA)の選手らに対し、強制労働に加担しているとされるアンタを含む3社とのスポンサー契約などを解消するよう促した。
北京冬季五輪に外交使節団を派遣しない「外交的ボイコット」を表明している米政権は先月、強制労働を理由に中国新疆ウイグル自治区からの輸入を全面的に禁止する「ウイグル強制労働防止法案」を成立させた。
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