米シンクタンク、ジャーマン・マーシャル財団(GMF)はこのほど、中国共産党政権は国際社会で台湾を孤立させるために国連の決議をわい曲していると批判した。同財団は米政府に対抗策を講じるよう呼びかけた。
GMFは24日「(中国による)国連決議2758のわい曲と台湾の国連へのアクセスの制限について」と題した調査報告書を公表した。
報告書は、中国政府は1971年に採択された国連総会第2758号決議(アルバニア決議)を「中国の『1つの中国』原則や『台湾は中国の1つの省である』との主張にすり替えた」と指摘し、「国連内部で台湾を孤立させ、国連活動への参加を阻んでいる」と非難した。
同決議は、国連における「中国代表権問題」について処理したものであり、国連で台湾を代表する権利を中華人民共和国に与えたものではなく、また台湾が中華人民共和国の一部であるとも言及していない。中国は同決議を通じて、国連における中国代表権と国連安保理常任理事国の座を獲得した。
台湾パスポートで国連本部に入場できず
GMFは、民主主義の国で世界先端技術の主要サプライヤーを多く持つ台湾の政府関係者やNGO団体の関係者は国際社会から排除されており、中華民国(台湾)のパスポートを持つ者は国連本部などへの入場さえ許されていないと不満を示した。現在の蔡英文政権では、この状況がますます深刻化しているという。
2017年6月、台湾国立中正大学の教師と学生らは、ジュネーブの国連本部で開かれた国連人権理事会の会議を傍聴しようとした。国連側のスタッフは学生2人に対して、中国大陸で発行される「台湾同胞証(台湾居民来往大陸通行証とも呼ばれる)」を提示するよう求めた。スタッフは「台湾は1つの国ではない」と学生らに話した。
18年10月、台湾紙・聯合報の記者1人は中華民国のパスポートと台湾同胞証を持ち国連本部ビルに入ろうとしたが、中華人民共和国のパスポートがないため入場できなかった。また、国連が主催するイベントに招かれた台湾の科学者や人権活動家も同じく国連本部ビルへの入場を禁止され、オンラインイベントへの参加申請も拒否された。
国連への浸透に「全力を挙げている」
GMFの報告書は、中国政府は過去50年間において、国連総会決議2758を「1つの中国」原則と同一化し、国連内部の各レベルに浸透することに「全力を挙げている」とした。
報告書は、中国政府は台湾の孤立化を画策するために、国連での影響力を行使してアフリカなどの各国を懐柔し、台湾の国連活動参加、他の国際機関のオブザーバー参加に反対票を投じさせたと示した。
GMFによると、中国政府は国連で「台湾は中国の1つの省」という主張も広めている。国連の活動に関わろうとする各国のNGO団体にも、関連資料にその主張を反映するよう圧力をかけている。NGO団体などのウェブサイトや資料に「中国台湾省」ではなく「台湾」の表示があると、国連の助成金や活動参加申請は却下される可能性が高い。
ジュネーブに本部を置き、167の加盟国を有する国際標準化機構(ISO)はすでに国名と地域コードに「中国台湾省」を取り入れた。
GMFは米政府に対して、同盟国とともに「国連における中国の腐敗した影響力を抑制し、国連機関の上級職への中国人の任命と選出に反対し」、「米国の『1つの中国』政策と、中国の『1つの中国』原則の違いを強調していく」などの対抗策を求めた。
米国の「1つの中国」政策は、「中華人民共和国が中国を代表する唯一の合法政府である」ことを承認しており(recognize)、「台湾は中国の不可分の一部である」ことについて中国側の立場を認知する(acknowledge)にとどまっている。
(翻訳編集・張哲)
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