コロナ禍で精神を蝕まれる米高校生 「学校とつながる」重要性浮き彫りに=CDC調査

2022/04/05 更新: 2022/04/05

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためのロックダウンや学校閉鎖が米国の高校生のメンタルヘルスに大きな影響を与えていたことがわかった。米疾病対策センターCDC)の最新の調査によると、4割強の回答者が持続的な悲しみや絶望を感じていた。いっぽう、つながりを持つことが精神衛生の向上につながることも明らかになり、「学校とつながる」重要性が浮き彫りになった。

調査は2021年1から6月にかけて、全米の高校生7998人を対象に行われた。その結果、パンデミック中に何かしらの精神的問題を抱えていたとの回答は全体の37%だった。さらに、55%が家庭内で精神的虐待を、11%が家庭内で「殴る、蹴る」等の身体的虐待を経験したと回答した。親または同居中の大人が職を失ったと答えた学生は29%に上った。

なお、CDCが2009年から2019年まで行っていた調査では、米国の高校生のメンタルヘルスが悪化の一途を辿っていることが示されている。

CDCのデブラ・ホーリー主席副所長代理は「新型コロナウイルスの流行は、生徒の心の健康をさらに蝕む可能性のあるストレス要因を生み出している」と述べ、生徒に適切な支援を提供する必要があると訴えた。

調査は、生徒が「学校とのつながり」や居場所を持つことの重要性も明らかにした。学校で大人や同級生とのつながりを感じている学生は、そうでない学生に比べて、自殺を真剣に考えた割合(14%対26%)や自殺未遂の割合(6%対12%)が低いことがわかった。

CDCの思春期・学校保健部門のキャスリン・イシア博士は「学校とのつながりは青少年の逆境に対処する鍵になる」と指摘。学校での居場所づくりや地域社会への参加、人間関係の構築がこれまで以上に必要となっていると強調した。

米国をはじめ国際関係担当。
関連特集: アメリカ社会