中共ウイルス(新型コロナウイルス)感染拡大により上海市などで厳しい封鎖措置が続く中、習近平国家主席は5日に開催された会議で、感染を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を堅持する方針を重ねて強調した。米国の複数の専門家は、同政策で中国はより深刻な経済的打撃を受けると懸念した。
習近平氏は5日、最高指導部である共産党中央政治局常務委員会の会議で、ゼロコロナ政策について「科学的根拠があり、歴史の検証に耐えられる」とアピールし、「『動態清零(ダイナミック・ゼロコロナ)』の総方針を揺るぎなく堅持する」と述べた。
習氏は「わが国の感染対策をわい曲したり、疑ったり、否定したりするような言動とは断固として戦う」として、ゼロコロナに不満を持つ者への締め付けを示唆した。
米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)6日付は複数の専門家の話を引用し、習近平氏はゼロコロナ政策と経済活動のバランスをどう図っていくかについて言及していないと批判した。
米国の南メソジスト大学のリチャード・ブルーベイカー(Richard Brubaker)教授は、「都市封鎖を今やめれば確かに痛みは大きい。ただ、その痛みを将来も避けられると考えるのは愚かだ。都市封鎖から脱却した時、その痛みは完全に現実のものとなるだろう」と指摘した。同教授は現在、上海市に住んでいる。
シリコンバレーと上海を拠点に活動する米国の企業家、スティーブ・ムセロ(Steve Mushero)氏は、感染拡大を抑制できなければ、経済に大きな打撃を受けるとしたが、ゼロコロナという過剰な防疫政策も「大きな経済的打撃をもたらす」と主張した。同氏はワクチン接種を進めると同時に、ゆっくりと開放することで防疫政策と経済活動のバランスを図ることを提案した。「これによって被害が最小限に抑えられ、社会的緊張を緩和でき、(政府の)有能さを誇示することができる」
米政権の医療顧問トップを務めるアンソニー・ファウチ氏は4日、米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」のインタビューで、中国の都市封鎖に疑問を呈し「今、上海市や北京市は災難そのものだ」と述べた。
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