中国の在メキシコシティ総領事館は5日、メキシコのケレタロ市政府に宛てた書簡で、中国伝統文化の復興を使命とする米国神韻芸術団の公演を中止するよう求めた。これは中国共産党政権がロングアームを伸ばし、他国の地方自治体に影響力を行使しようとする新たな事例となった。
同市政府は同書簡を公演主催者である「メキシコ法輪大法協会」に提供した。書簡には、1999年以来、中国共産党が繰り返してきた伝統気功グループ、法輪功への中傷が書かれており、米ニューヨーク市に拠点を置く神韻芸術団の公演は「中国のイメージを損なっている」とした。
神韻芸術団は2006年、在米中国系アーティストらの有志によって結成され、中国共産党政権に破壊された中国伝統文化の復興を目指している。
芸術団は2007年から中共ウイルス(新型コロナ)が大流行した20年初めまで毎年世界各国で巡回公演を行い、中国古典舞踊などを披露した。メキシコでの公演は約3年ぶり。芸術団は今月5日からメキシコの5つの都市を回り、17回の公演を行う予定。
大紀元が入手した情報では、在メキシコ中国大使館は神韻公演を巡り、書簡、電子メール、SNSなどを通じて、少なくともメキシコの3つの地方自治体に圧力をかけた。
メキシコ法輪大法協会の会長を務めるカルロス・グスマン(Carlos Guzman)氏は「アーティストらは公演を通じて『中国共産党のない中国』を世界各国の人々に見せたい」と大紀元に語った。
グスマン氏によると、中国大使館は過去にも複数回メキシコ公演を妨害していた。大使館から書簡を受け取り、圧力を受けたメキシコシティの大劇場、ナショナル・オーディトリアム(The Auditorio Nacional de México)は「観客らは神韻公演を気に入っている。観客は文化的に、精神的に満足している」などと反論して、公演を中止しないと示した。
グスマン氏は「神韻芸術団は米国で設立された団体で、米国の法律に守られている。中国政府は米国籍のアーティストらの芸術活動に干渉しようとしているだけではなく、メキシコの地方政府を指図している。明らかにわれわれの主権を侵害した」と非難した。
同氏は、在メキシコシティ中国総領事館の要求を拒否したケレタロ市政府に感謝の言葉を述べた。
神韻芸術団は現在、米国、メキシコ、欧州、オーストラリアで公演を行っている。6月には台湾で上演する予定。
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