米国のトム・コットン上院議員は17日、移民問題研究センター主催の対談で、中国動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」社員などへのビザ発給により、米国の国家安全保障が損なわれていると指摘した。
2022年だけでも、国土安全保障省(DHS)は、TikTokのカリフォルニアオフィスで働く外国人向けに570件以上のH-1Bビザを承認している。H-1Bは、特殊技能を有する職業に従事する人のためのビザで、年間約6万5000人に発給されている。
「中国は米国の繁栄を利用し、安全を危険にさらし、政治にも影響を与える可能性がある」とコットン氏は指摘。TikTokを運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)とその子会社は「H-1Bビザを悪用して、中国人を米国で働かせている。本来であれば(米国のデータは)中国から保護されるべきだ」と述べた。
同アプリは、これまで米国ユーザーの位置情報やインターネット閲覧データの収集、ユーザーのキー入力の監視など、セキュリティの疑惑が指摘されてきた。コットン氏は14日にマヨルカス国土安全保障長官に宛てた書簡のなかで、膨大な情報を収集するTikTokは、米政府関係者らの位置を追跡するなどして「米国人に対する脅迫手段として機能している」と述べた。
また、米国の中国人留学生へのビザ発給にも懸念を示した。一党独裁体制を敷く中国では、党に逆らえば厳しい監視下に置かれるといった圧力を受ける。「共産党のために(知的財産窃盗や)スパイ活動をしたくなくても、本土に家族がいるなら多くの圧力と強制にさらされる」と指摘した。
中国の諜報活動を念頭に、米国では今月18日、中国共産党幹部などへのビザ発給停止法案が提出された。中国共産党員9300万人への非移民ビザの発給を禁止する法案や2000人以上いる中国共産党全国代表大会の代表者とその家族に対する制裁法案がある。
コットン氏は、こうした規制に加え中国人留学生を機密性の高いSTEM(科学、技術、工学、数学)分野から締め出すよう求めている。「中国の次世代の最先端エンジニアや兵器開発者を米国の大学で養成し、連邦政府と共同で開発した技術を危険にさらすのは筋が通らない」と述べた。
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