【総加速師】
1980年代、中国の改革開放経済を主導した鄧小平は「総工程師」と呼ばれた。「エンジニアの総監督」というような意味である。
もちろん、あだ名を冠したところに中共の意図がある。鄧小平は、毛沢東のような思想的象徴になるのではなく、経済を成長させる実務家として民心を掌握する政治手法を選んだと言ってよい。
毛沢東の後継指名を受けた華国鋒は、毛の死後、落雷のような速さで「四人組」を逮捕し、文革の終息を宣言した。ただし、もともと華自身が文革容認派であったため、その政治的基盤は弱かった。華国鋒と入れ替わるように、失脚から復活した鄧小平に実権を奪われる。
40年の時を経た今、先月の第20回党大会で3期目の党総書記となった習近平氏は「総加速師」と呼ばれている。
そもそも中国語に「加速師」という名詞はない。鄧小平の「総工程師」は中共の官製メディアがそう呼んだが、習氏の「総加速師」はスラング的な隠語として広まったものである。今のところ中共が取り締まる禁句とはなっていないが、一体何を「加速」させるのか。
「中国の特色ある社会主義の旗を高く掲げ、現代的な社会主義国家を建設する」と習氏は熱く語った。それを聞いて、疑問に思う人も多いだろう。それは恐るべき歴史の逆行であり、「破滅への道」を加速していることに他ならないからだ。
隠語の真意はそこにある。
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