米連邦最高裁は19日、新型コロナウイルスの感染拡大防止を理由に米国への不法移民を即時送還する法的措置「タイトル42」の廃止を保留にすると発表した。最高裁は、継続を求める19の州による訴訟の審理が進行する間は、暫定的に延長するとした。
判決に先立ち、テキサスやアリゾナなど共和党主導の19の州は移民問題が悪化するとして廃止の撤回を最高裁に申し立てていた。
トランプ前政権が導入したタイトル42は、バイデン政権も踏襲していたが、連邦地裁は11月に失効の判決を出していた。
アリゾナ州のマーク・ブノビチ司法長官はリリースで、「タイトル42の廃止は、南部国境で起きている大惨事を悪化させ、より多くの米国人と移民を無謀かつ不必要に危険にさらすことになる」と危機感を示した。不法な越境者は1日7000人から1万8000人に急増すると推定される。
メキシコと国境を接するテキサス州のグレッグ・アボット知事も11月にバイデン政権に当てた書簡のなかで「牧場は引き裂かれ、(不法移民による)住居侵入の危機も高まっている」と指摘。また、メキシコから密輸されるフェンタニルの過剰摂取による死亡者数も急増していると訴えていた。
アボット氏はこれまでもタイトル42の廃止に抗議するため、入国手続きを終えた越境者をバスで首都ワシントンに送るという奇策を講じている。
民主党のギャビン・ニューサム知事率いるカルフォルニア州でも不法移民に対処する財源が底を尽きたという。同氏は声明で「過去3年間でおよそ10億ドルを費やしてきたが、やり続けることはできない」と強調。地元紙に対して、カリフォルニア州のシステムは 「壊れかけている 」と語った。
エポックタイムズに提供された税関国境警備局の予備データによると、12月1日から19日までテキサス州のエルパソとデルリオで逮捕された不法移民は7万人を超える。
バイデン政権も措置の廃止を公約としていたが、メキシコ国境で拘束された移民が過去最高に急増したことから、当面は維持する方針に変えた。
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