バイデン政権時の移民プログラムで数千件の不正申請発覚 =政府責任説明局報告書

2025/12/21 更新: 2025/12/21

政府責任説明局(GAO:Government Accountability Office)の報告書によると、連邦移民政策の影響で、2022年5月から2024年9月までに77万4,000人の非市民に特例入国許可が認められた際、数千件の不正申請が行われていたことが明らかになった。

2021年から2025年までアレハンドロ・マヨルカス長官が率いた国土安全保障省(DHS)の下での人道的仮放免プログラムは、米国に住む支援者(スポンサー)が「入国後の生活費などを経済的に保証する」と届け出た場合に限り、外国人に一時的な滞在許可を与える制度であった。しかし、報告書によれば、数千件の申請書とそのスポンサーが犯罪に関与していたり、本人の知らないところで利用された(時には死亡している)米国市民の情報を用いた偽造書類が含まれていた。

「この調査結果は予想通りであり、ジョー・バイデン(前大統領)の『オープンボーダー(開かれた国境)』政策が、米国国民の安全よりも、詐欺師や凶悪犯を含む外国人を優先していたことを裏付けるものだ」。米国市民権・移民局(USCIS)の広報担当、マシュー・J・トレゲッセ氏は12月18日、エポックタイムズへの声明でそう述べた。

「彼の『キャッチ・アンド・リリース(拘束後の放免)』政策と甘い審査が不正の蔓延を招き、地域社会の安全と国家の移民制度の信頼性を損なった。USCISはこの混乱を収拾するまで、手を緩めることはない」

報告書によると、1,400人以上の人々が、死亡した人物をスポンサーとして米国に到着していた。

エルビス・プレスリーや著名人の情報を利用

申請書には、有名人の社会保障番号や写真までもが使用されていた。不正対策担当官は、1977年に亡くなった伝説的ミュージシャン、エルビス・プレスリーの社会保障番号を使用した「複数の申請」を発見した。

ある人物は元CBSジャーナリストのコニー・チャンの画像をパスポートに使用し、別の人物は女優のコテ・デ・パブロの写真で運転免許証を作成していた。3,000件以上のスポンサー申請には、偽造された米国パスポートの画像が添付されていた。

報告書は次のように指摘している。「USCIS(米国市民権・移民局)の審査官には、過去に申請歴のないスポンサーの情報を照合する手段がなかった。そのため、こうしたスポンサーからの申請は、事実上そのまま承認されていた」

USCIS側も、審査プロセスの欠陥を認めている。この制度は2022年から2023年にかけて、南部国境に押し寄せる不法移民を別の枠組みに誘導する目的で導入されたが、潜在的な不正を自動的に検知するシステムが備わっていないなどの不備があった。

報告書で言及された移民は、「ウクライナのための団結」、「家族再統合パロール(FRP:family reunification parole)」、およびキューバ、ハイチ、ニカラグア、ベネズエラ出身の「CHNV移民」という3つのプログラムの一環として米国に入国した。データによると、53万1,307人がCHNV移民として、23万227人が「ウクライナのための団結」の下で、1万2,268人が家族再統合パロールの一部として手続きされた。

一部の申請では、スポンサーが薬物犯罪や資金洗浄、暴行、人身売買に関与していることが判明し、審査で「要注意」としてマークされた。中には、ハイチ当局から殺人容疑で指名手配されている人物までもが含まれていた。

こうした問題のある申請については、個別のリスク評価を経て承認の可否が判断された。2022年4月から2024年9月までに行われた約120万件の申請のうち、USCISは約21万件(約17%)を不承認とした。また、米国税関・国境警備局(CBP)も、約6万1,000件の渡航認証を拒否、または取り消している。

移民研究センターのアナリストを務める元移民裁判官アンドリュー・アーサー氏は、12月16日の声明でこの報告書に反応した。「歴代の政権がパロール(特例入国許可)権限を乱用して入国資格のない外国人の入国を許可してきたが、バイデンが行ったことの足元にも及ばない」とアーサー氏は記した。

報告書には「明らかに無関係な証拠」という項目もあり、そこにはインターネット上で入手できる風景画像や星条旗の写真などを証拠書類としてアップロードした例が挙げられていた。「これらの『人道的パロール』申請システムを設計したのは誰だ? マフィアか?」とアーサー氏は問いかけた。「これが(単なる)職務怠慢であることを願う。そうでなければ、犯罪的に弁解の余地のない無知だ」

GAOはUSCIS局長に対し、新しい制度の導入や既存制度の変更(新たな移民支援の申請など)を行う際、不正リスクを抑え込むための「内部チェック体制」を構築するよう勧告した。

また、国土安全保障長官(現在はクリスティ・ノーム氏)に対しても、「支援者が保証人となる入国許可制度(パロール)」で今回露呈した数々の失敗や問題点を検証し、それを教訓として現在行っている他の業務にも活かすよう提案した。

ノーム長官とトランプ政権は、2025年1月にトランプ氏が就任して以来、野放しになっていた不法移民の取り締まりを強化している。今年初め、DHSはノーム長官の下、ニカラグアとベネズエラ出身者の一時保護ステータス(TPS:temporary protected status)を終了させた。ハイチのTPS指定は2025年9月2日に終了予定だったが、訴訟のため2026年2月3日まで維持される。ウクライナのTPS指定は2026年10月に期限が切れる予定だ。

USCISは12月12日、コロンビア、キューバ、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラスの出身者とその直系家族を対象とした家族再統合パロール(FRP)プログラムを終了すると発表した。DHSは金曜日のプレスリリースで次のように述べた。

「家族を再統合したいという願いは、不正や乱用を防ぎ、国家安全保障と公共の安全を守るという政府の責任を上回るものではない。FRPプログラムには不十分な審査によるセキュリティ上の欠陥があり、悪意のある者や不正な者が米国に侵入するために悪用する可能性があった。これは米国にとって容認できないレベルのリスクであった。DHSは米国人の安全、安心、そして財政的・経済的幸福を最優先している」。

米国ナッシュビル在住のエミー賞受賞ジャーナリスト。以前はニューヨーク・ポストやフォックス・ニュース・チャンネルで働き、ニューヨーク市ではオフ・ブロードウェイ・ミュージカルのシリーズも執筆した。
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