ダボス会議では、プライベートジェットの使用により二酸化炭素(CO2)排出量が4倍に増加した。参加者は気候変動問題を推進する一方で、自らが引き起こした過剰なCO2排出を抑制する行動をとらなかったとして批判を浴びた。
グリーンピースの1月13日の報告によると、昨年5月22日から26日にかけてダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)において、1040機のプライベートジェットがダボス空港に離発着した。これにより、平均的な週と比較して、プライベートジェット機からのCO2排出量が4倍となった。
ダボス会議に離発着するジェット機は1週間で2倍に増え、その結果、平均的な自動車約35万台分に相当する9700トンのCO2が排出されたという。このうち、ダボス会議参加者の自家用機が大半を占めていた。
グリーンピースの欧州モビリティキャンペーンの中で交通キャンペーンを担当するクララ・マリア・シェンク氏は、ダボス会議のためのプライベートジェットの使用について、WEFが「気候変動を1.5度以内に抑えるというパリ協定目標に取り組んでいる」と主張していることから、これは「不快な偽善の極み」だと指摘した。
13日のプレスリリースによると、「気候を破壊する航空排出物」の影響に苦しむ世界人口の80%は、飛行機に乗ったことすらないと彼女は述べている。
「一方、富裕層や権力者は、超高度の汚染をばらまく、社会的に不公平なプライベートジェットでダボス会議に集まり、密室で気候や不平等について議論している」とシェンクは語った。
プライベートジェットによる汚染
ダボス会議期間中に追跡調査したプライベートジェットのうち、53%が750キロメートル以下の短距離飛行であることが判明した。グリーンピースの報告書によると、これらは車や電車での移動で済むような距離であった。このうち38%は500キロメートル以下の超短距離飛行で、最短飛行距離はわずか21キロメートルであった。
ダボス空港の発着回数が多いのは、フランス、イタリア、ドイツの3カ国であることが判明した。
「ダボスには十分な鉄道の駅があるのに、21キロの距離を電車で移動することもできない人たちだ。この人たちが、世界が直面する問題を解決する人たちだとは、本当に信じているのだろうか」。とシェンク氏は言った。
乗客1人当たりの排出量をキロメートル単位で計算すると、プライベートジェットは最も大気を汚染する交通手段である。昨年、何人かの公人が短距離移動にプライベートジェットを使用していることが批判され、その排出量問題が注目された。
欧州連合(EU)では、プライベートジェットは規制の対象外である。しかし、2022年、フランスが圏内の他国をリードして、プライベートジェットの排出量規制を推進することになった。
ジェット機と列車の排出量比較、グリーンピース左派の思惑
ロンドンのビジネスライター、ケルビン・チャン氏は昨年の記事で、「ダボス会議への870キロの列車の旅は、一人当たり12.2キログラムのCO2しか排出しなかった。」と述べている。一方、飛行機を使った場合は、同じ旅で197キログラムのCO2が排出されるという。
プライベートジェット機は、一人当たりのCO2排出量が、民間航空機の10倍、鉄道の約50倍と推定されている。合計すると、航空は世界の炭素排出量の約2%を占めている。
一方、ダボス会議のプライベートジェット排出量報告書を作成したグリーンピースも、気候変動問題を誇張したとの疑いで、厳しい批判にさらされている。
グリーンピースを設立し、1986年に同組織を去ったパトリック・ムーア氏は、9月に大紀元が入手した電子メールの中で、環境運動には金と権力が伴うことに気づいた左派政治家が同団体を「ハイジャック」したと指摘する。
ヨーロッパや北米の左派政治活動家たちは、グリーンピースを科学に基づく組織から政治資金調達のための組織に変えてしまったと述べている。
環境保護団体が行っているCO2やプラスチック、原子力に反対するキャンペーンは見当違いであり、「経済を破壊し、文明を廃絶しなければ世界は終わらない」と人々に思わせるためのものだ、とムーア氏は書いている。
(翻訳・大室誠)
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