ウクライナでの戦争において「中国とロシアが組めば、世界大戦が起きる。その点については中国も分かっているはずだ」。ウクライナのゼレンスキー大統領は、20日付の独ヴェルト紙とのインタビューで、このように述べた。
ゼレンスキー氏は「現時点では、中国がロシアを軍事的に支援しているという兆候は見られない」としているが、中国の動きについて、米国などは神経を尖らせている。
ブリンケン米国務長官は19日放映の米テレビ番組で、「米国の度重なる警告にもかかわらず、中国はロシアに殺傷兵器の支援をすることを検討し始めている」と指摘。
ブリンケン氏は、前日の中国の外交トップ・王毅政治局委員との会談においても、「中国がロシアに武器支援をすれば深刻な結果をもたらす」と伝えていたという。
これに対し、中国政府は「米国は中国に対して命令する資格はない」と強く反発した。
中国は本当に「無実」なのか
中国は、本当にロシアを支援していないのか。武器支援の確たる証拠は今のところないとしても、西側の制裁を受けるロシアを中国が「経済的」に支援しているのは明らかだ。
中国税関総署が発表した昨年の貿易統計によれば、ロシアとの輸出額、輸入額はいずれも1995年以降で過去最高を記録している。
ロシアのプーチン大統領が、中国の習近平国家主席の招きで北京冬季五輪の開催に合わせて北京を訪れた際に、両者は共同声明で「限界のない友情」を共有すると宣言した。
情報筋によれば、当時の会談でプーチン氏は習氏に「米国とNATOがウクライナ問題でロシアに圧力をかけている。ロシアを、軍事行動も含めて対応しなければならない状況に追い込もうとしている」と内々に明かしている。これに対して習氏は、「ロシアは中国の支持を得られる」とプーチン氏に保証したという。
一方「ウクライナでの戦争を一番引き延ばしたがっているのは中国だ」と指摘する声もある。
米紙ニューヨーク・タイムズのコラムニストで外交ジャーナリストのトーマス・フリードマンは19日放送のNBCの番組で「戦争が長引けば長引くほど、ロシアは中国にますます経済的に依存するだろう。その上、米欧がもつ兵器などを消耗させることもできる」と指摘した。
フリードマン氏もまた「中国がロシアに武器支援をすれば、本物の世界戦争になるだろう」と警鐘を鳴らした。
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