中共の政府サイトが海外から閲覧不可 「逆ファイアウォール」拡大か

2026/06/11 更新: 2026/06/11

北京の中央党校でこのほど校長人事が行われたが、大紀元の調査で、同校の公式サイトが海外から閲覧できない状態になっていることが分かった。複数の検証の結果、中国共産党(中共)国務院の各部門サイトのうち、民政部など一部の政府サイトも海外からアクセスできなくなっていることを確認した。なぜこれらのサイトは海外からの閲覧を制限しているのか。専門家らは、中共当局による情報統制強化の一環であると指摘している。

党校サイトを海外から遮断 専門家が技術的背景を分析

6月5日に発表した公式情報によると、蔡奇が中央党校の校長に就任した。大紀元記者は公式サイトの「現指導部」欄の更新状況を確認しようとしたが、ページは開かず、アクセスできなかった。

一方、海外の中国語メディア2社は、中央党校の公式サイトが5日時点では指導部情報を更新しておらず、翌6日に更新されたと報じている。

また、Googleで中国語の「党校指導部」を検索すると、中央党校の指導部紹介ページ自体は表示されるものの、アクセスできたりできなかったりする状態だ。

世界脱党支援センターで中国本土向けの非VPN接続技術を担当する曉君氏は、同様の検証結果を踏まえ、次のように説明した。

「ページは403エラーを返しており、サーバーまたはセキュリティゲートウェイによってアクセスが拒否されている。表示内容から、リクエストはTencent Cloudのウェブアプリケーションファイアウォール(WAF)の防御層で遮断したと考えられる。ブラウザやDNSの問題ではなく、接続先サーバーに到達する前の段階でブロックされている。ただしVPNで中国のIPアドレスを使用すると閲覧できる」

同氏は、これらのサイトがTencent Cloudのファイアウォールを利用し、IPアドレスの所在地に基づくアクセス制限を設定している可能性が高いと指摘した。海外IPアドレスを遮断し、中国国内からのアクセスのみを許可しているとみられる。

一部海外メディアが中央党校サイトの更新情報を確認できた理由についても注目が集まっている。

カナダ在住の時事評論家・盛雪氏は、「特定の海外メディアだけに閲覧権限を与えているとは限らない。中国本土に常駐する記者が現地からアクセスした可能性が高い」と分析した。

対外宣伝を担う中央党校 海外アクセスを制限する理由

中央党校は2022年9月、副校長の謝春濤が「中華文明と中国の道研究センター」および「国際伝播研究センター」の設立を発表した。対外発信力の強化や国際的な発信力の向上を掲げており、従来は対内宣伝の中核だった中央党校が、対外宣伝の前面にも立つ姿勢を示した。

しかし、その中央党校が海外からのサイト閲覧を制限している。これについて、盛雪氏は中、央党校が掲げる「中共の物語を語る」という方針について、「対外宣伝であり、海外に対して中国の実態を取り繕うためのものだ。一方向的に中共当局に都合のよい洗脳コンテンツを編集・翻訳して発信するものだ」と指摘する。中央党校の公式サイトは、中・上級中共幹部の思想動向や研究テーマを示す一次資料の集積であるという。

同氏は、当局は海外に対して見せたい情報だけを発信したいのであって、海外のシンクタンクや研究者がサイトに直接アクセスし、独自に分析や研究を行うことは望んでいないと述べた。

さらに、「海外の中国問題研究者が、党校サイトに掲載した論文や表現の変化から政策の方向性や内部の動きを分析することを当局は警戒している。国際社会に分析材料を与えないため、アクセスそのものを制限している」との見方を示した。

民政部など3部門のサイトも海外から閲覧不可

大紀元は、外務省や国防省、国家発展改革委員会、教育部、科学技術部、工業情報化省、公安部、民政部、司法部、財政省、商務省など、国務院を構成する26部門の公式サイトを順次確認した。

その結果、民政部、自然資源部、住宅・都市農村建設部の3サイトについて、海外から正常にアクセスできないことを確認した。

なかでも民政部サイトの遮断は注目を集めている。

2024年1月16日、人力資源・社会保障部は国務院の人事異動を発表し、胡海峰が民政部副部長に就任した。当時、記者は民政部サイト上で幹部人事情報の更新を確認できた。

しかし近年、民政部が公表する統計データをめぐっては変化がみられる。

これまで民政部は、四半期ごとに結婚件数や離婚件数、火葬件数などを含む統計を公表していた。しかし、この慣例は2022年末の新型コロナウイルス感染拡大以降に変化した。

2022年第4四半期の民政統計は、2023年6月9日になってようやく公表したが、火葬関連の統計は掲載しなかった。このため、死亡者数の実態を隠しているのではないかとの疑念が広がった。

記者が2024年4月16日に民政部サイトの「統計データ」欄を確認したところ、掲載していた最新データは2023年第4四半期分だったが、同年の四半期統計には火葬関連項目が含まれていなかった。

北京市民政局や湖南省民政庁、広東省民政庁のサイトでも同様の状況を確認した。また、浙江省、黒竜江省、海南省の民政関連ページは海外から正常に閲覧できなかった。

そして現在は、民政部の公式サイトも海外からアクセスできない状態となっている。

重要データの非公開化か 専門家の見方

盛雪氏は、民政部、自然資源部、住宅・都市農村建設部の3部門が、中国社会や経済、安全保障に関わる重要なデータを扱っている点に注目する。

同氏は、「これら3部門は、中国が直面する社会問題や経済問題、安全保障上の課題に関する重要情報を管理している。海外からのアクセスを遮断することで、当局はこうしたデータの分析や検証を困難にしようとしているのではないか」と分析した。

例えば、民政部は、火葬関連統計だけでなく、結婚率の低下や高齢化の進行、生活保護や各種救済制度の利用状況など、社会の実態を示す重要な指標を管理している。

盛雪氏は、これらのデータは中国社会の現状を反映する指標であり、海外の研究機関やメディアが継続的に分析すれば、中共当局が描く社会像との乖離が明らかになる可能性がある」と述べた。

また、自然資源部は地理測量や土地利用、戦略鉱物資源などに関する情報を所管している。国際的な安全保障上の競争が激化する中、当局がこうしたデータの流出を警戒している可能性があるという。

住宅・都市農村建設部についても、不動産市場の低迷や地方財政の悪化に関する情報が集まる部門であり、海外投資家が中国経済を分析する際の重要な情報源となっている。

当局は海外が一次データを継続的に取得することを避けたいのではないかとの見方もある。

アメリカ在住の中国問題専門家・陳破空氏も、中共当局は外交面で苦戦している一方、政権維持のための管理手法に力を入れていると指摘する。

同氏は、WeChatの中国版と海外版を例に挙げ、「中共は海外メディア、とりわけ独立系ネットメディアが政府サイトの情報を分析し、政治的な動向や政策の方向性を読み解くことを警戒している。そのため、海外からのアクセスを制限する方が都合がよいと考えているのではないか」と語った。

さらに、「今後、政権への不安が強まれば、統計データの非公開化やサイトのアクセス制限はさらに拡大する可能性がある」との見方を示した。

「逆ファイアウォール」拡大 統治不安の表れとの見方

今年2月に公表した研究によると、中共政府公式サイトの半数以上が海外からアクセスできなくなっているという。

約10%のサイトではサーバー側やDNSによる明確な遮断措置を確認した。また、約40%は接続タイムアウトによるアクセス失敗であり、研究ではこれを国境を越えた通信制限の強化を示す現象と分析している。

この研究は、中国国内から海外サイトへの接続を制限する従来の「グレート・ファイアウォール」に対し、海外から中共政府サイトへのアクセスを制限する仕組みを「逆ファイアウォール」と位置付けている。

曉君氏は、中共当局には、海外には見せたいが国内には見せたくない情報と、その逆に国内だけに見せたい情報が存在すると指摘する。技術的には複雑な仕組みではなく、アクセス元のIPアドレスを判定し、海外からの接続を拒否する方式が主に用いられているという。

近年、中共は対外開放を強調する一方で、出入国管理の強化やインターネット統制を進めてきた。現在では公共機関の公式サイトにまで海外向けのアクセス制限が広がっている。

陳破空氏は、「中共は昔から看板と実態が異なっていた。毛沢東時代には『人民』や『共和』を掲げていたが、実際には共和国とは言い難く、人民も尊重されていなかった。現在も、改革に逆行する政策や文化大革命を想起させる動きを進めながら、なお改革の旗を掲げていると指摘する。

一方、盛雪氏は、中共が考える『開放』とは、資本や投資、技術を受け入れることであり、情報、真相やデータの外部流出は許さないというものだと述べた。

そのうえで、行政機関や公共サービス部門の公式サイトまで海外から遮断している現状は、中共が国際社会や海外メディアによる検証を強く警戒していることを示しているとの見方を示した。

唐兵
顧暁華
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