ニューヨーク州 AI広告に表示義務 合成俳優規制と罰則の全容

2026/06/11 更新: 2026/06/11

ニューヨーク州でAI生成の人物を広告に使う際の表示義務が施行された。全米初の規制として、罰則や適用範囲、業界の賛否、今後の全米への波及可能性を整理する。

人工知能(AI)の利用をめぐる規制を目的とした法律が、6月9日、ニューヨーク州で施行された。AIで生成した人物を広告に使用する場合、明確な表示を義務づけるもので、こうした規制は全米で初めてとされる。

この法律では、州内で配信・掲載される広告において、AIで生成された人物を実在の俳優の代わりに使用する場合、「合成俳優(Synthetic performer)」であることを目立つ位置に表示することが求められる。違反した場合は違法とされ、罰金が科される。

法律は、ホークル知事が昨年12月に署名したもので、「合成俳優」を「実在の人間に酷似した外見を持つデジタル生成の人物」と定義している。対象は、ソーシャルメディアやデジタル広告を含む、あらゆる媒体に及ぶ。

ホークル知事は声明で、「ニューヨークではAI任せにするのではなく、私たち自身がルールを定める。このような情報開示は消費者の保護につながり、創作に関わる人々の尊重にも資する」と述べた。

規定では、表示を行わなかった場合、初回は1000ドル(約15万円)、その後は違反1件ごとに5000ドル(約75万円)の罰金が科される。

一方で、一定の例外も設けられている。映画やテレビ番組、配信コンテンツ、ゲームなど、合成俳優を含む作品の予告編や広告は対象外とされる。また、音声のみの広告や、AIを翻訳のみに用いる場合も適用されない。

広告業界と俳優組合の対立

この法律をめぐっては、業界内で意見が分かれている。アメリカ広告代理店協会は、「法令順守の不確実性が増し、企業や代理店の負担が重くなるほか、創造性や技術革新を妨げるおそれがある」として反対の立場を示している。

これに対し、俳優組合のSAG-AFTRAは支持を表明し、「俳優の雇用を守るとともに、AIに伴うプライバシーや安全面のリスクを抑えることにつながる」としている。

ホークル知事が法案に署名した後、トランプ大統領は連邦の行政命令に署名し、各州に対しAI規制を過度に強化しないよう求めていた。州ごとに異なる規制が広がれば、アメリカ企業の競争力が低下し、中国が優位に立つ可能性があると指摘している。

こうした中、ニューヨーク州が今回、法の施行に踏み切ったことは、今後の各州の対応にも影響を与える可能性がある。

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