ドイツ政府からの申し出にもかかわらず、中国はドイツ国内に2カ所設置している海外警察署の運用を続けていることがわかった。同国の2大政党は警察署について容赦しない姿勢を示し、外務省に外交問題へと発展させるべきだと主張している。ドイツ経済紙「ハンデルスブラット」が15日付で報じた。
内務省はジョアナ・コタル議員の質問に対する回答書で、この事実を明らかにした。
ハンデルスブラットが入手した回答書は、2つの海外警察署はいずれも外交機関に関する既存の二国間協定でカバーされるものではなく「福建省、江蘇省、浙江省などの地元警察部隊による非公式の警察署」だと指摘した。
さらに海外警察は中国出身のいわゆる「コミュニティ・リーダー」が監督しており、対外工作を任務とする中国共産党の中央統一戦線工作部と関わりがあると付け加えた。
ドイツ外務省は昨年11月、「主権侵害を容認しない」とし中国に海外警察署を閉鎖するよう要請していた。
人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」によると、中国共産党は海外警察署を世界53カ国に少なくとも102カ所に設置し、異論を唱える人権活動家などの帰国を迫っている。
擁護団体「在ドイツ香港人協会」のアニエッサ・アンドレセン会長は、同団体のメンバーが、中国国家安全保障局の関係者と思われる人物から脅迫文を受け取ったりストーカーや嫌がらせを受けていると述べた。ラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
中国海外警察署をめぐって、各国も調査に乗り出し、閉鎖を命じている。昨秋に米連邦捜査局(FBI)が犯罪捜査の一環として家宅捜査したニューヨークの中国海外警察署が閉鎖したほか、2日にはカナダ警察が同国に設置された4カ所の海外警察署が「活動を停止した」と明らかにした。
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