金融大手JPモルガン・チェースは12日、性的虐待の罪で起訴された米富豪、故ジェフリー・エプスタイン元被告による被害女性らとの集団訴訟について、和解することで原則合意したと発表した。
被害女性らは2022年、顧客だったエプスタイン元被告による性的搾取を助長したとして、JPモルガンを提訴していた。
JPモルガンの広報担当者はエポック・タイムズに寄せた声明での中で「エプスタイン元被告があるまじき行為を行っていた。この和解が全ての関係者、特に被告から想像を絶する虐待を受けた被害者の利益にかなうと信じている」と述べた。
また「エプスタイン元被告との関係は全て間違いであり、それを後悔している。凶悪犯罪を犯すために当行を利用していると分かっていれば、彼との取引を継続することは決してなかった」と付け加えた。
被害女性の代理人デイビッド・ボイズ氏も「エプスタイン元被告から性的虐待を受けた被害者のための正義への道はあまりにも長く、まだその終わりには至っていない」とした上でJPモルガンによる賠償は「彼らが受けるべき名誉回復の重要な一歩となる」と述べた。
ロイターは原告側の弁護士の話として、和解金額は2億9000万ドル(約400億円)と伝えている。
先月には同じ被害女性らから同様の理由で提訴されていたドイツ銀行が7500万ドル(約103億円)で和解することに合意している。
ヘッジファンド経営者として財を成したエプスタイン元被告は、マンハッタン区の住居などで、何年にもわたって未成年の少女を人身売買したとして起訴されていた。有罪となった場合、最高45年の禁錮刑が科される可能性があったが、19年8月、勾留中に死亡した。監察医によると死因は自殺という。
裁判の内容
JPモルガンとドイツ銀行に対する訴訟は、匿名の女性グループよって集団訴訟として提起された。原告側はこの2つの銀行が被告が犯罪を犯していると知りながら金銭的支援を提供したり、危険な兆候を無視したことは組織犯罪取り締まりのために制定された「RICO法」に違反すると主張していた。
エプスタイン元被告は2000年からJPモルガンに口座を所有していた。同被告と親しかった幹部のジェス・ステーリー氏が2013年に退社した後、同社はエプスタイン元被告の口座閉鎖を決定した。
その後、エプスタイン元被告はドイツ銀行を利用するようになった。
訴状は、これらの銀行口座を持つことで、エプスタイン元被告は性的虐待を長期に渡り持続することが可能になったと指摘している。
和解が成立する前に、JPモルガンは自社に対する請求は「メリットなし」だとして、裁判所に訴訟の却下を要請していた。
バージン諸島の訴訟には影響なし
今回の和解は、米領バージン諸島がJPモルガンを相手取って起こした別の訴訟には影響しない。
バージン諸島の当局によると、JPモルガンは銀行サービスを提供することでエプスタインの性的虐待を助長し、エプスタイン元被告が2008年に未成年者への売春勧誘で有罪を認めた後も、そのサービスは継続されていたとしている。
エプスタイン元被告はカリブ海に浮かぶバージン諸島のリトル・セント・ジェームズ島を所有し、性的人身取引を行なっていた。
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