太陽光発電 著しい成長の裏に存在する廃棄物処理問題

2023/06/27 更新: 2023/06/26

過去数年間で再生可能エネルギー、特に太陽光発電の普及が大幅に拡大している。一方、寿命を過ぎた太陽光発電設備の廃棄物処理の問題が、米国の内外で懸念となりつつある。

米国内には、推定149.5ギガワット(GW)の太陽光発電設備が設置されている。6月8日に調査会社ウッドマッケンジーが発表したプレスリリースによると、2023年の第1四半期に、6.1GWの太陽光発電設備が設置され、史上最高の第1四半期だったという。さらに同社は、今後5年間で、米国の太陽光発電設備の総容量が2028年までに378GWに達すると予想している。

中国は世界最大の太陽光発電設備メーカーであり、米国にソーラーパネルを供給している主要サプライヤーでもある。しかし、中国との貿易には奴隷労働のような人的代償が伴う。

昨年、米国税関国境警備局(CBP)は、強制労働を理由として中国からの調達に対抗することを求めたウイグル強制労働保護法を実施、太陽光パネルを含む8億4100万ドル相当の1642件の電子製品を差し止めた。3月、CBPは3億4500万ドル相当の552個の機器をリリースした。

中国産ソーラーパネルの輸入が滞ったために、太陽光発電開発プロジェクトは遅れた。しかし、差し止められた製品の一部がリリースされたことで、中国産パネルが米国のプロジェクトで採用される予定だ。

中国でのパネル製造には人権問題が指摘されている。さらに、ソーラー産業には未解決の別のハードルがあり、近い将来、世界的な生態学的な悪夢になると噂されている。

ほとんどのソーラーパネルの寿命は約25〜30年だ。これらのパネルが機能しなくなったり、寿命を迎えて引退したりすると、大きな社会問題を投げかけることになる。各国では、大量のパネル廃棄物を処理するために、健全な準備をしなければならない。

急増する太陽廃棄物

イェール環境学校の数字によれば、2030年までに引退する米国のソーラーパネルの総量は、アメリカンフットボール場の約3千個分の面積に相当するという。

5月13日のCNBCとのインタビューで、テキサスに本拠を置くソーラーサイクルのスビ・シャルマCEOは、今年、米国で新たに設置される発電設備容量の54%が太陽光発電からと述べたEIAの報告を引用しながら、ソーラーエネルギーが「発電の支配的な形態になりつつある」と述べた。

しかし、シャルマ氏はリサイクルに言及して、「現在、ソーラー産業を循環型にしようという取り組みは行われていない」と述べた。現在、アメリカには5億枚以上のソーラーパネルがあり、今後数年間で数千万枚が追加されると予想されている。

「Renewable Energy」に掲載された2019年の研究では、2030年から2060年の30年間に約980万トンのソーラーパネルが廃棄物として排出されると推定している。

中国では、ソーラーパネルの廃棄物が大きな問題になっている。過去数年間、中国は技術基準を適切に管理することもなく、ソーラーパネルの生産拡大に邁進して来た。その結果、これらのパネルの多くは、製品寿命が来る前に使用できなくなっている。

「中国のソーラーパネルの廃棄率は、年間約30%に達したと推定される」と、英国に住む投資コンサルタントのファン・チ氏は4月4日にエポックタイムズに語った。

3月のフォーラムで、中国ECOPVアライアンスのPV専門委員会の副書記であるリュウ・リミン氏は、「中国のソーラー・モジュール廃棄物は2030年までに18GW、2040年までに253GWまたは2千万トンに達する」と語った。

ソーラー廃棄物のリサイクル

ソーラーパネルの廃棄物は、実質的な汚染問題を引き起こす。パネルは、テルル化カドミウム、鉛、ヘキサフルオロエタンなどの多数の有毒化学物質で構成されている。ソーラーパネル製造の副産物として生成される化学物質は、皮膚の火傷を引き起こす可能性のある四塩化ケイ素だ。

ソーラーパネルの廃棄物を処分場で埋め立てると、有毒な鉱物や金属が地面に浸透する可能性があるため、環境に長期的なリスクをもたらす。

これは現在でも行われていることだ。ソーラーパネルの欠陥品や使用済み品の約90%が処分地に送られている。これは、ソーラーパネルを処分地で捨てる方が、ソーラーパネルをリサイクルするよりはるかにコストが掛らないためだ。

シャルマ氏によると、このギャップは、リサイクルの費用対効果が向上し、同時に埋め立て費用が増加するという条件が整えば、今後5年から10年で大幅に縮小するとのこと。

カリフォルニアは米国で最大の住宅用ソーラー市場だが、2022年半ばの時点で、同州にはソーラーパネルを受け入れるリサイクルプラントが1箇所しかない。

米国を拠点とするパネルメーカーのファースト・ソーラーは、リサイクルが利益を上げると信じている。昨年WSJとのインタビューで、同社の最高品質および信頼性責任者であるパトリック・ブーラー氏は「リサイクル費用が埋め立て費用以下になると確信している」と述べた。

ファースト・ソーラーによると、ソーラーパネルの材料の95%(重量ベース)が回収できるという。回収された材料は、新規パネル用半導体を作るために使用することができる。

流通ネットワークのもう一つの側面から、廃棄物管理コストが追加されると、個々のソーラーパネルの価格も上昇する。

政策決定者によって、実用的かつ効果的なエネルギー政策が採用される必要がある。現在、中国における奴隷労働から古いパネルの効果的処分に至るまで、ソーラー産業には多くの欠点がある。

サプライチェーン全体で具体的な進歩が見られない限り、ソーラーパネルという、環境上持続不可能な技術への依存や、ソーラーパネルを大規模に展開することもできない。
 

英語大紀元記者。担当は経済と国際。
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