米国防総省は6月28日、メディア制作に関する文書を更新し、中国共産党の要求に基づいて映像を編集する映画スタジオとは協力しないと宣言した。
エポックタイムズが入手した文書には「自国の国益の増進を図るためにコンテンツの検閲を試みる中国政府または中国共産党、もしくはその支配下にある組織からの要求に基づいて映画を編集したり、またはその要求に従う可能性が高いという実証可能な証拠がある場合、国防総省は制作支援を提供しない」と記されている。
同文書の更新は、バイデン大統領が昨年12月に署名した2023年度の国防権限法に基づく措置で、メディア作品には長編映画、シリーズ番組、ドキュメンタリー、電子ゲームなどが含まれる。
エポックタイムズの問い合わせに対し、国防総省は6月28日時点からこの規定は「有効」だとした。
何十年もの間、ハリウッドと米軍は互恵関係にあり、映画は軍事基地、飛行機、艦船での撮影が許可されてきた。
しかし、近年では中国の巨大市場目当てに、ハリウッドは中国共産党の検閲を受け入れている。言論の自由を掲げるNPO団体「ペン・アメリカ(PEN America)」は2020年に発表した報告書のなかで、ハリウッドのプロデューサーらは、中国政府の意向を反映するため内容を差し替えるなどの自己検閲を行っていると指摘した。
例えば、2021年にはディズニーが米アニメ『ザ・シンプソンズ』で1989年の天安門事件に触れるエピソードを削除したほか、昨年公開された『ミニオンズ フィーバー』の結末は中国の検閲によって中国共産党の政策を支持する内容に変更されている。
また、昨年公開された映画『トップガン マーヴェリック』の予告編では、主人公が着用するジャケットのワッペンから日本と台湾の国旗が消された。続編では復活を果たしたものの、当時は中国のハリウッドへの浸透工作の成功例だと指摘されていた。
大きな前進
政府の発表を受けて下院国土安全保障委員会のマーク・グリーン委員長は、国防総省の決定を支持する声明を発表した。
「米国の映画製作は、表現の自由と米国の価値観に基づくものであるべきだ。中国共産党のプロパガンダに利用されるべきではない」と指摘。また「国防総省の新しい規制は大きな前進」とした上で、中国共産党の浸透工作を防ぐためには法整備が必要だと強調した。
グリーン氏は3月、ハリウッドが中国共産党の検閲に屈することを阻止する「共産主義政権による編集行為阻止法(SCREEN Act)」を発表した。
法案は、米国の映画スタジオと中国企業が共同製作する映画への連邦政府の支援を禁じるほか、中国共産党の要請に応じて検閲を行わないことを約束する書面を提出するようスタジオに義務づける。
グリーン氏は声明で「中国共産党は米国における言論の自由を検閲しようとする試みをエスカレートさせている。米映画産業が中国共産党のプロパガンダの道具になることを許してはならない」と強調した。
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