中国は、半導体の製造に使用される金属2種類に輸出規制を課すと発表した。 これを受け、各国は対中依存を減らす動きを加速している。
7月3日、中国商務省と税関総署はガリウムとゲルマニウムおけるその加工物の輸出規制を8月1日から行うと発表した。
中国は、この措置は国家安全保障のためだと主張しているが、経済アナリストは、米国が中国への主要人工知能AI技術の輸出規制を決定したこと、またオランダが米国に続いてチップ製造装置の輸出を規制したことへの報復だとみている。
専門家は、この規制の世界のチップ産業への影響は限定的だと考えている。 中国共産党(中共)のやり方は裏目に出るだけで、米国と欧州によるレアメタル産業の「リスク回避」の動きを加速させ、中共のガリウムとゲルマニウム生産における支配的地位が奪われることになるという指摘もある。
中共の動きは、中国への「サプライチェーンのリスクを減らす」という呼びかけを再燃させた。即ち、電気自動車用バッテリーのような、より広範な商品に使用される主要部品の加工と調達を、中国国外に求めることになる。
アナリストによると、これらの金属は石炭やボーキサイトの製造副産物であり、特に希少でも困難でもない。この措置は、米国と欧州の中国依存の低下を加速させ、価格が上昇して中国以外の生産を促すだけだと指摘している。
米商務省「サプライチェーン多様化の必要性を浮き彫りに」
2022年、税関のデータでは、中国産ガリウム製品の最大輸入国は日本、ドイツ、オランダであり、ゲルマニウム製品の最大輸入国は日本、フランス、ドイツ、米国である。ドイツの産業界は、欧州とドイツは中国への依存度を早急に下げる必要があると述べた。
また台湾も、今回の中共の動きは、台湾、日本、韓国が主要素材の中国への依存を減らすアクセルになるだろうとしている。
台湾外交部の李淳政務次長は、輸出規制は、台湾、韓国、日本などの経済諸国の、主要原材料の供給における中国への依存度を下げるための促進剤として機能するだろうと警告した。
西村康稔経済産業相は4日の会見で、中共の輸出規制の日本企業などに与える影響については「精査しているところだ」と語っている。
7月5日、この中国の米国は「断固として」反対しており、この問題を解決するためにパートナーや同盟国と協力していくと述べた。
ドイツ、フランス、イタリアは、欧州への原材料供給の最適化を含め、欧州における主要原材料の採掘と精錬の再開を奨励するため、より緊密に協力することで合意した。
スウェーデンの通信機器メーカー、エリクソンは、多様なサプライヤー・ベースを持つことに取り組んでいるとし、「次のステップで、これらの措置の効果とエリクソンへの影響を深く分析する」と述べている。
フィナンシャル・タイムズ紙によると、韓国商務省は中共の輸出規制について緊急会議を開いた。
韓国のチュ・ヨンジュン商務次官は、「この措置は他の製品にも拡大する可能性を否定できない」と述べた。
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