風力タービンの部品故障の増加とそれに伴う財政的打撃によって、グリーンエネルギーを標榜する業界が進めようとする真の持続可能性に疑問が投げかけられている。
6月22日、シーメンス・エナジーは、シーメンス・ガメサでの陸上風力発電所の技術レビューを開始し、そのコストが10億ユーロを超えると予想されるため、利益想定を撤回すると発表した。
「これは残念で苦い後退だ」とシーメンス・ガメサのヨッヘン・アイクホルトCEOは6月の電話会議で述べた。「品質の問題は特に陸上地域で、これまで知られていたものをはるかに超えている」
機械的な問題は、同社の風力タービン発電基地の15〜30%に影響を及ぼし、修理には数年かかる可能性がある。
発表の翌日、シーメンス・エナジーの株価は37%以上下落した。
同社は、オフショアでも課題が増加すると予想していると述べている。
シーメンス・エナジーは、ドイツのコングロマリットであるシーメンスの子会社だ。シーメンス・エナジーの風力発電事業であるシーメンス・ガメサは、スペインに拠点を置くグローバル企業で、ヨーロッパと米国で陸上および洋上タービンを建設している。
ブルームバーグが報じたところでは、同社はフランスのエネルギー会社エンジーSAがブラジル北東部で建設している、サント・アゴスティーニョ風力発電所で損傷したタービンの調査を始めた。
この設備は、シーメンス・ガメサの新しい5.Xモデルの陸上風力発電所の一部であり、262フィート(約80メーター)のブレードを備えている。しかし、多くの品質管理上の問題に直面し、調査のために停止されていた。
シーメンス・ガメサの発表後、7月5日に広報担当が「リチャージ」にサント・アゴスティーニョ風力発電所でブレードが壊れたことを確認した。
「思ったより厳しい」
メディアや広報担当者は、COVIDパンデミックやロシアとウクライナの紛争が原因で発生したコスト増加や原材料の入手の難しさを非難した。そのため、競合各社は納期を守るのが難しくなり、投資家の信頼も揺らいでいる。
シーメンス・エナジーのクリスチャン・ブルッフ最高経営責任者(CEO)は6月の電話会議で、後退は「私が考えていたよりも深刻だ」と述べた。
「シーメンス・ガメサは今年大きな損失を被り、適切なレベルの収益性に到達するには長い時間がかかる」とブルッフ氏は述べた。
「また、企業文化を修正する緊急の要件があることも見ておかなければならない」
2022年、シーメンス・ガメサは2900人の従業員のレイオフを発表し、さらなる削減が予測されていると「エネルギーウォッチ」は報告している。
アイクホルト氏は「そのような決定を下すことは決して容易ではないが、会社を好転させ持続可能な未来を確保するために、今こそ決定的かつ必要な行動を取るときだ」
「GXの主要プレーヤーとしての地位を確保するために、より強力で競争力のあるシーメンス・ガメサを構築する必要がある」と述べた。
「未知の領域」
世界的な資産運用会社アライアンス・バーンスタインの産業技術責任者であるニコラス・グリーンはCNBCに対し、「事業の拡大によって、風力エネルギーは未知の領域に押し上げられ、それが業界全体の課題になっている」と語った。
「シーメンス・ガメサは、それ自体悪いオペレーターであるというわけではない。実際のところ、通常のプロトコルと使用時間、使用中の運用データの一部が比較的制限されているのだ」とグリーン氏は述べた。
急速なビジネス拡大は、材料の入手可能性に加え、需要と供給のみならずエンジニアリングにも課題を与えている。
「ウィンドヨーロッパ」のスポークスマンであるクリストフ・ジッフは、CNBCに対して「20年前の通常風力タービンの容量は100万ワットだったが、現在は1500万ワットでテストしている」と語った。
「タービンも大型化し、部品(品質、材料、寿命)に課題が生じたことを意味する」とジッフ氏は声明の中で書いている。
しかし、彼は「これらの課題は業界全体が崩壊する予兆ではなく、シーメンス・ガメサの問題はシーメンス・ガメサに限定されたものだ」と述べた。
「すでにヨーロッパで設置されているタービンの数を考えると、大型タービンの故障は非常にまれだ」とジッフ氏は語った。
しかし、実際は、タービンの故障はより頻繁に起きており、過小報告されていると主張する人もいる。
「重大な過少報告」
「ウィンドアクション」の創設者兼エグゼクティブディレクターであるリサ・リノウェスは、大紀元に対して、「タービンの故障は、人々が認識しているよりも蔓延している」と語った。
「すべての失敗がマスコミによって取り上げられるわけではないので、過少報告の程度は把握していないが、相当な数に上ると信じる十分な理由がある」とリノウェス氏は述べている。
「2007年に遡るが、部品故障と構造的な故障は孤立したものではなく、体系的かつ業界全体に係るものだという明確なシグナルがあった」
彼女は、2007年に発表されたタービンの機械的問題に関するニューヨークタイムズの記事を指摘した。
政府から多額の補助金が支給されたことで、風力タービンの建設競争や急成長する産業への資本投下を招き、それが技術の欠陥につながった。
エンジニアは「プロトタイプをテストする時間が限られていること、需要が供給を上回っていること、そして企業は、より効率的な技術を生み出すために減速しようとせず、代わりにより大型の施設を作ろうとしている」と不満を漏らした。
「この記事の公開後、タワーが座屈したり、タービンが完全に崩壊したりする事故が多発している」とリノウェス氏は述べている。
16年前にこの記事が発表されたとき、彼女は、米国には約6千ものタワーが稼働していると述べていた。「今日、その数は約6万5千から7万にも及んでいる」
(続く)
(翻訳・大室誠)
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