クリス・ライト首相は就任後最初の週に、化石燃料と原子力エネルギーを通じて予想されるエネルギー需要の増加に対応する計画を提示した。

クリス・ライト エネルギー省（DOE）長官が出した最初の秘書命令は、ドナルド・トランプ大統領がグリーン・ニューディールがもたらした国家的エネルギー非常事態とみなした事態を解決するための9項目の行動計画だった。

ライト長官は、前政権のエネルギー省の主要目標であった「ネット・ゼロ・カーボンの未来（net-zero carbon future）」の追求を撤回するよう命じた。

ライト長官は、ネット・ゼロ政策は地球規模の温室効果ガス排出削減にほとんど貢献せず、エネルギーコストを上昇させ、信頼性を危うくし、エネルギーと国家安全保障に害を及ぼしていると述べた。

新政権が直面する課題には、ガソリン価格の高騰、電力需要の増加予測、不十分な発電能力、老朽化した送電網、枯渇した戦略石油備蓄などがある。

トランプ大統領は、豊富で信頼でき、手頃な価格でクリーンなエネルギーこそがアメリカの最大の資産であり、国家の多くの問題とニーズに対する答えだと繰り返し宣言している。

こうしたエネルギー資産の増産と輸出は、トランプの経済計画の柱だ。

60歳の技術者であり実業家であるライト長官は鉱業権やロイヤリティ、採掘、原子力技術に精通しており、同省の1万6千人の職員と10万人の契約労働者に対し、米国のエネルギー支配に基づく新たな「黄金時代」という大統領のビジョンの実施に奔走するよう迅速に指示した。

「エネルギーは、私たちのあらゆる活動を可能にする不可欠な要素である」

ライト長官は、上院での承認を受けた2日後の2月5日に発令した長官命令の前文でこのように記した。

「高度にエネルギー化された社会は、すべての人に健康、富、機会をもたらすことができる」
 

反対派の反発

全米の環境擁護団体であるシエラ・クラブは、新アジェンダに批判的だった。

ベン・ジール事務局長は、大統領の行動は「大気と水を汚染することで労働者家族の健康と富を損なうと同時に、中国に譲歩し、クリーンエネルギーでわが国に電力を供給している真新しい工場を閉鎖しようとする大統領の決意が露わになった」と述べた。

「地域社会をより危険なものにし、呼吸器疾患や心臓病を増加させ、エネルギー代を増大させ、雇用を海外に移転させることは、アメリカのリーダーシップや、労働者階級の家族を支援するという彼の約束から最も遠いものだ」

対照的に、ライト長官の命令では、「今後、当省の目標は、アメリカの豊富なエネルギーを最大限に活用することになる」と明記されており、それは「現代社会を支えるために必要なものだ」と述べている。

長官は、エネルギーの重要性を強調し、「私たちにはより多くのエネルギーが必要であり、減らすべきではない」と述べた。

幅広い情報源

政権の計画は、エネルギー供給を増やすため、化石燃料、地熱エネルギー、水力エネルギー、そして先進原子力エネルギーの利用を呼びかけている。

その一環として、エネルギー省（DOE）は次世代原子力技術を迅速に導入し、さらには輸出するよう命じられている。

ライト氏は、連邦政府の許認可プロセスを「負担が大きい」と表現し、DOEは民間投資家が必要とする多様なインフラを建設できるよう、許認可の効率化を優先すると述べた。

ライト氏は、「エネルギーをより安価で、信頼性が高く、安全なものにする」プロジェクトを特定し、承認と建設を促進することを約束した。

DOEは「プロジェクトの中止をあまりにも容易にし、プロジェクトの完了をあまりにも困難にしている連邦政策を含む、進展への障壁を取り除くこと 」を命じられている。

エネルギー省（DOE）の命令では、送電システムを含む米国の電力網の信頼性と安全性を強化することが義務付けられている。

食器洗浄機や洗濯機などの家庭用電化製品に関して、命令には次のように記されている。

「当省は、消費者が重視する製品を市場から排除するような規制を行わない、常識的なアプローチを追求する。むしろ、手頃な価格と消費者の選択の自由を指針とする」

また、ライト氏はこの命令の中で、戦略石油備蓄（SPR）について「補充しなければならない」と明言した。

「残念ながら、SPR（戦略石油備蓄）は現在、歴史的に見て非常に低い水準にある」

「私たちは、これが新たな現状になることを許さない」と述べた。

また、この命令は、液化天然ガスの輸出に関する制限をエネルギー省が緩和することも義務付けている。