米政府当局者はロイターに対し、米軍がイランを攻撃する前、トランプ大統領がホワイトハウスで作戦説明を受け、米軍が重大な人的損失に直面する可能性があるとのリスクが示された一方で今回の軍事行動は「高リスク・高リターン」であり、中東地域に「世代に一度の変革の機会」をもたらす可能性があると説明されていたと明らかにした。
米国とイスラエルは2月28日「壮絶な怒り」作戦と呼ばれる共同軍事行動を開始し、イラン国内の複数地点を攻撃した。これに対しイランは、イスラエルおよびペルシャ湾周辺のアラブ諸国に対して報復攻撃を実施した。
匿名を条件に取材に応じた米政府当局者は、作戦開始前の説明で担当者がトランプ大統領に対し、この軍事行動を「高リスク・高リターン」の作戦と位置づけ、地域に「世代に一度の変革の機会」をもたらす可能性があると説明したと述べた。
トランプ大統領自身もこの見方に同意していたとみられる。トランプ大統領は作戦開始時、戦争の危険性を認め「勇敢なアメリカの英雄たちが命を失う可能性がある」と述べたうえで、今回の軍事行動は現在のためではなく未来のためであり、崇高な使命であると説明した。
戦闘開始を発表する前、トランプ大統領は「47年間にわたりイラン政権は『アメリカに死を』と叫び続け、絶え間ない流血と大規模な虐殺を引き起こしてきた。われわれはもはやこの状況を容認できない」と述べた。
今回のイランに対する軍事攻撃は、2003年のイラク戦争以降、米国が実施した中で最もリスクの高い軍事行動の一つとみられている。
米軍の攻撃開始前、トランプ大統領は複数の政府高官から作戦説明を受けた。説明には、ジョン・ラトクリフCIA長官、ダン・ケイン米統合参謀本部議長、マルコ・ルビオ国務長官、ピート・ヘグセス国防長官が参加した。
ブラッド・クーパー米中央軍司令官も2月26日にワシントンに到着し、ホワイトハウスのシチュエーションルームで行われた討議に参加した。
別の米政府当局者も、ホワイトハウスが攻撃前に複数のリスク評価の報告を受けていたと明らかにした。説明では、イランがミサイルで地域内の米軍基地を報復攻撃する可能性や、イランの代理勢力がイラクやシリアに駐留する米軍部隊を攻撃する可能性が指摘された。
この当局者はまた、米国が大規模な軍事集結を進めたものの、急派されたイランの報復攻撃から基地や部隊を守る防空システムには能力上の制約が存在していたと述べた。
トランプ大統領の大きな戦略目標
攻撃の数週間前、トランプ大統領は中東地域への大規模な増派を命じた。ロイターは、米軍が大統領の決断次第でイランに対する継続的な軍事作戦を実施する計画を策定していると報じている。複数の当局者は、その計画にイラン政府高官を標的とする斬首作戦が含まれていると説明した。
イスラエル政府当局者はハメネイ師とペゼシュキアン大統領が、今回の作戦で想定された斬首対象に含まれていたと述べた。
軍事行動当日、トランプ大統領はイランに対する目標が極めて大きいことを明確にし、イランが米国に及ぼす脅威を終わらせるとともに、イラン国民が現政権を打倒する機会を得る状況を作ることを目標としていると説明した。トランプ大統領はその実現に向け、イラン軍事力の大部分を破壊し、核兵器開発を阻止する計画を提示した。
トランプ大統領は「われわれはイランのミサイルを破壊し、ミサイル産業を壊滅させる。さらに海軍も完全に破壊する」と述べ「地域のテロ代理勢力が二度と地域や世界の安定を脅かさず、米軍を攻撃できないようにする」と強調した。
ロイターは、今回の決定がトランプ大統領のリスク受容姿勢の高まりを示していると分析した。ロイターは、この決断が、トランプ大統領が前月に米特殊部隊をベネズエラに派遣し、マドゥロ大統領の拘束を目的とした奇襲作戦を命じた際よりも大胆な判断だったと指摘した。
現在進行している対イラン軍事行動は、トランプ大統領が6月に米軍に命じたイラン核施設への爆撃よりも、さらに大きなリスクを伴う作戦とみられている。
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