米グーグル傘下の動画共有サイト・ユーチューブ(YouTube)は最近、世界保健機関(WHO)の主張に沿わない医療・健康関連のコンテンツを検閲する新しい「誤った医療情報に関するポリシー」を導入した。これについて、識者は「言論の自由に対する攻撃だ」と指摘した。
ユーチューブは、以前「新型コロナ誤報ポリシー」のなかで「深刻な危害をもたらす」コンテンツや、WHOや地元保健当局(LHA)の主張と矛盾する新型コロナに関する「医療誤報」コンテンツは許可しないとしていた。今回の新たなポリシーは、検閲範囲を拡大し「特定の健康状態や物質」も対象とする。
新たなポリシーは、クリエイターに対して「特定の健康状態の予防や感染に関する保健当局のガイダンスに反するコンテンツ」、または現在承認されているワクチンの安全性、有効性、成分に関するコンテンツの投稿を禁じる。
また、当局やWHOが安全かつ効果的であると承認していない「特定の有害物質や行為」を宣伝することも許可しないとした。
ユーチューブは公式ブログで「医療情報は絶えず変化する。(中略)著しく有害なコンテンツは適切に削除するという重要なバランスを維持していかなければならない」としている。
一方、一部の識者などは、こうした検閲は「報道の自由を制限する」ものだと指摘する。
作家のマイケル・シェレンバーガー氏はWHOに、「反対すれば検閲される」ポリシーは、情報の自由な流れを抑制し、「重大な権力の乱用」を引き起こす危険性があると指摘。「言論の自由、科学、民主主義に対する攻撃」だと述べた。
ユーチューブはこれまでも、ワクチンが引き起こす副作用として、保健当局が認める「まれな副作用」以外は「ワクチンの誤報」とみなしてきた。これには、承認されたコロナワクチンが「死亡、不妊、流産、自閉症、その他の感染症」を引き起こす可能性があるという主張も含まれる。
また2021年には、ワクチンパスポート政策に対する訴訟を発表した米下院議員の記者会見を削除した。これを受けて、米国のマルコ・ルビオ上院議員は「不公正な方法でユーザーの言論を制限している」と主張する書簡をユーチューブに送った。
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