欧州連合(EU)は、中国製の電気自動車(EV)への補助金問題についての調査に正式に取り組み始めた。この調査は、12か月以内に完了する予定だが、これから9か月以内に、反補助金税の導入といった暫定措置が公表される可能性がある。
10月4日付の欧州連合官報(OJEU)によると、中国製のEVが中国共産党政府から多様な補助金を受けている疑惑が持たれており、それがEUの産業に著しい被害をもたらしていると指摘されている。
EUの通知文には
「欧州委員会は、多くの独立した情報源から市場に関する情報を集めている。これらの情報から、中国での補助金の存在が示唆されている。そして、これら補助金を受けている輸入製品の市場シェアは、EU市場において急激に拡大しており、EUの産業に打撃を与えている」
との記載がある。
調査の主な焦点は、近年、急増している中国の輸出産業に置かれている。
EUは、中国共産党政府の補助金として、各種助成金、国有銀行からの特権的なローン、特別条件での債券発行、輸出保険の優遇、所得税や配当税、輸出入税、付加価値税の減税等を挙げている。
さらに、中国共産党政府が市場価格を下回る価格で、多岐にわたる商品やサービスを提供している可能性も考えられている。
この通知には、特定の製造業者名は記載されていないものの、調査はEU向けの輸出を行う全ての中国製造業者に及び、中でもテスラ、BYD、上海汽車集団、NIO等の主要ブランドが焦点となっている。
通知によれば、調査の一部としてEUは、関連する各関係者からの証拠や証言を求めることになる。関係者が情報提供を拒否したり、調査を妨害した場合、既知の事実を基に調査結果を下すことが許容されるとしている。
EUのこの調査行動に対して、中国商務省は声明を発表。強く不満を表明し「この行動は、世界的な自動車サプライチェーンに混乱を引き起こし、中国と欧州の経済関係にもマイナスの影響を与える」との立場を示している。
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