最近の中国共産党(中共)による不動産企業に対する厳格な監視と規制は、全国規模の不動産危機を引き起こしている。
不動産市場は持続的な停滞状態にあり、不動産企業の土地購入は一層慎重なものとなっている。
土地の供給および取引は連続的に減少を見せ、土地オークションをしても買い手がつかない流札率は再度上昇している。2023年の第3四半期において、中国各省における土地売却収入は、前年同期と比較して20%減と大幅な減少を記録した。
専門家たちは、この不動産危機が地方の財政収入に深刻な影響を与え、さらに将来の経済展望を暗くしていると指摘している。
土地取引の規模、9月において前年同期比43%減少
最近、各地域で不動産販売促進策が相次いで発表されているものの、不動産市場は未だ停滞が続き、土地市場も更なる縮小を見せている。
データによると、中国の9月における土地供給量は9962万平方メートルであり、前年同時期と比較すると36%の減少を示し、過去10年間で最低の数値を記録している。過去のデータを見ると、2017年以降、9月の土地供給規模は毎年2億平方メートルを常に超えていた。
9月24日時点で、中国の300都市において、商業用土地の総成約面積は4950万平方メートルとなり、前年同期比では43%、前月比では約20%の減少を見せている。
9月には主要都市における土地の入札頻度が著しく低下しており、広州市、杭州市、寧波市などごく僅かな都市のみが集中的に土地オークションを実施している。
主要都市における9月の土地オークションで落札額が期待価格よりどれくらい超えているかを示す平均溢価率は4.5%となり、2023年3月以来の第2低水準となっている。武漢、長沙、青島などの都市では0%の溢価率が記録されている。
また9月の土地オークションの流札率は19.6%となり、前月比で1.4ポイントの上昇を見せた。
広州市、杭州市、寧波市、武漢市などでは住宅用地オークションが流札または撤退となっている。
土地属性を見ると、流札となった土地の中で、住宅用地が占める割合は66%に達しており、住宅用地オークションの流札率が商業・オフィス用地を上回る異例の事態が発生している。
米国サウスカロライナ大学アイケンビジネススクールの謝田教授は「現在、不動産企業は土地を購入する資金を持っていない」
「販売は下落しており、不動産企業は借入により経営が圧迫され、倒産の危機に直面している」と大紀元に語った。
第3四半期の土地売却収入 前年同期比で20%の減少
中国の証券会社、民生証券のデータによれば、2023年の第3四半期における中国の土地売却収入は前年同期比で20%の下落を記録している。
第3四半期の土地売却収入における前年同期比降下率を地域別で観察すると、青海省、甘粛省、新疆ウイグル自治区といった地域では50%を超える減少が見受けられる。
一方で、福建省、山東、湖北、安徽、湖南省、重慶市、陝西省、内モンゴル自治区、貴州省といった地域では、降下率が40%を超えている。また、吉林省は30%以上、河南省、遼寧、山西省では20%以上の減少が記録されている。
この土地売却収入の大幅な減少について、米国の経済学者、黄大衛氏は3つの理由を挙げている。
第1の理由は、現在の不動産市場の不況が関与している。具体的には、住宅市場の取引量が著しく減少し、開発業者たちが土地購入計画を削減している。
第2の理由は、現在、全ての不動産会社が、多かれ少なかれ経済的および財務的な危機に面しており、土地を購入する余剰資金がなく、現行のプロジェクトを完遂できれば、それで良しとする企業が多い。
3つ目の理由は、現在、国有企業および中央企業の資金調達や債券発行が困難になっているため、以前のように土地価格を引き上げる動きが見られない。
売却収入の減少が地方財政を圧迫
2023年1~9月に至る期間、中国の土地売却収入が2兆3873億元(約48兆8252億円)に達し、前年同期と比較して28.84%の減少を記録したことがデータにより明らかとなった。特に青海省、貴州省、甘粛省、福建省、上海市、新疆ウイグル自治区においては、その減少率が50%を越えている。
9月の売却収入は2889億元(約6兆73億円)で前年同期比で52.13%、前月比で11.26%の減少が見られた。住宅用土地の売却収入も、2320億元(約4兆8236億円)となり、前年同期比で53%、前月比で12.54%の減少を示した。
公開データによると、地方政府の広範な借入金は90兆元(約1840兆円)に上り、既存借入金の平均利率は約4%~5%であることから、地方政府は年間最低でも3兆6千億元~4兆5千億元(約75兆6千億円~約94兆5千億円)の利息を負担せねばならない。
復旦大学経済学院の院長である張軍教授は、近年、「地方政府の土地収入が利子支払いを賄うことが出来なくなる可能性があり、これは重大な財政的課題を意味する」との指摘を行っている。
黄大衛氏も「土地売却収入の減少は地方財政に対して重大な打撃を与え、一部地方においては、地方財政の約70%が土地売却収入およびそれに関連する収入に依存している」と指摘している。
黄氏は地方政府は現行の運営を維持するためには、必然的に公共サービスや公共支出、福利が削減されるであろうと指摘している。
一方で、地方政府はいわゆる建設プロジェクトを保護する必要があり、公務員の給与も何とか支払い続ける必要があり、低所得者層の保護なども地方政府の固定的な支出だと黄氏は付け加えている。
黄大衛氏は不動産危機は地方政府の財政収入に影響を与えるのみならず、将来の経済の展望もさらに悲観的にしているとの見方を示した。
謝田氏は「中国経済も終焉を迎えている。したがって今、崩壊せざるを得ない、完全な崩壊を迎える」と考えている。
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