アメリカ社会 宿題は手書きっと一部の学校は、ChatGPTのような生成AIツールの使用を禁止しようとしている。

子供が宿題でAIを使うのは是か非か 米国で賛否両論

2023/10/24 更新: 2023/10/24

大多数の若者は宿題をする際に人工知能を使うのが間違っていると知っているだろう。しかし10代の若者の10人に4人がAIを使用しているという。

ジュニア・アチーブメントが今年夏に発表した研究によれば、13〜17歳の若者のうち60%はこれを不正行為だと考えている。

 これを受け、教師らは為す術もなく、鉛筆で小論文を提出するよう生徒に求めたりしている。

「子供たちにすべての初稿を手書きで書くことを要求している。手書きをしている間、より多くの神経活動を生み出すので、より深い学習につながる」と、教育コンサルタント、カトリック高校教師のピート・ラフィン氏は語った。

教育コンサルタント、「ワシントン・エグザミナー」誌のコラムニスト、そしてカトリックの高校教員であるピート・ラフィン氏は、このように語った。

「本に何が書いてあるのか、歴史はどうなっているのか、子供たちに学ばせる必要がないのなら、教師はいる意味があるのだろうか? スペルチェックがスペルやChatGPTに与える影響が指数関数的に大きくなるようなものであれば、私たちはあっという間に暗黒世界に入ってしまうだろう」

ニューヨーク市の公立学校など、一部の学校では、生徒がAIツール(例えばChatGPT)を使って不正行為を行っている可能性があるとして、教室でのAIツールの使用を禁止しようと試みた。米国のいくつかの学校が同様の決定を下している。ミルウォーキー公立学校もその1つだ。

カリフォルニア州のオーランド高校の英語教師、スティーブン・モーガン氏は自分の経験を教えた。

「私が教える3・4年生は最近、戯曲『るつぼ』を読み終え、筆記試験として、それについてレポートを書かせた。55人のうち、約20%がChatGPTを使用した。すぐにそれを見抜いて、ChatGPTを使った生徒には不合格評価をつけた」

これは大学でも大きな問題になっている。スタンフォード大学の学生が運営する新聞によると、2022年に17%の学生が課題や試験でChatGPTを使用したことを認めた。

しかし、一部の大学教授は、肯定的な態度を示した。

ピッツバーグ大学の英語准教授で作文プログラムのディレクターであるアネット・ヴィー氏は、その一員だ。

「学生たちは、不正行為のためだけでなく、もっと革新的にAIを使っていると思う。彼らはAIを使って創作上の低迷を乗り越えたり、Eメールを推敲したりしている。学生は何が適切なのかについて、独自の道徳観を持っていると信じている」

「現時点で、全面的な禁止は受け入れられない」と同氏はエポックタイムズに語った。

AI Product Reviewsのピーター・キング氏によれば、オンラインでAI技術の助けを求める学生によるGoogle検索は、今月に入って408%も急増した。キング氏は生徒たちの創造性を称賛する一方、教師が現在直面している複雑な課題について懸念を示した。

「AIエッセイライターは、学生たちに課題を簡単かつ迅速に終わらせる方法を提供している。一方、教授や教育者たちが学問的誠実性と効果的な勉強を維持しようとする際にますます難しい課題を抱えているだろう」

確かなことは、あらゆるレベルの学術機関でAIが登場したことで、教育者が共同で解決策を考え出すようになったということだ。フロリダ州パームビーチ・アトランティック大学のコミュニケーション学教授であるトム・セント・アントワン氏とその同僚は、AIが彼らの教室にどのように影響を与えているかを議論するために、月1回の会議を開いている。

「私たちはAIの能力について議論し、AIをどのようにポジティブに活用するかについて議論している。それ(AI)がどれほど悪いし、怖いかを話さない。ただし、私たちはブレインストーミングや研究段階で新しい情報源を見つけるためにさえ、AIを使用することは、学生に対する不公平な行為だと感じている。なぜなら、AIチャットボットが見つける情報は、常に関連性があるわけではなく、オリジナルで正確であるわけでもなく、真実であるわけでもないからだ。最も高度な形態の技術であっても、それは人間ではない」

経済教育団体ジュニア・アチーブメントの調査では、生徒がなぜ学業にAIを使用するか尋ねられた際、回答は「AIはただのツール」(62%)「学校や宿題が嫌い」(24%)「AIのおかげでその情報を知る必要がない」(22%)、または「みんながやっている」(22%)となっている。ラフィン教員は、自身の経験から、AIが学生からリアルで必要な教育体験を奪う一因と考えている。

「問題は、学生が学ばないこと。私は、子供たちが実際に物事がどのように機能するかを学ぶことを優先している。5年生を教えていたとき、その子は私に『なぜ句読点をどこに入れるかを知る必要があるのか?』と聞いた。私は言葉が詰まり、ただ彼を見た」とラフィン教員は振り返った。

 

Mark Gilmanは、多くの全国紙に寄稿し、18年間ラジオトークショーキャストとして活動したメディアのベテラン。 数多くの政治キャンペーンのコミュニケーションを担当したり、大手テックおよび通信企業の広報としても活動している。
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