米司法省のボンディ長官は20日、電気自動車(EV)大手テスラの車両や施設に放火した罪で3人を訴追したと発表した。トランプ政権は、これらの行為を「国内テロ」と位置づけ、強い姿勢で臨んでいる。
ボンディ司法長官はこの件についての声明を発表し、「何の罰も受けずに犯罪を犯していた時代は終わった」と強調。「これは警告だ。もしテスラの資産に対する『国内テロ』の波に加担すれば、司法省があなたを刑務所に入れるだろう」と、最近続発するテスラへの暴挙にけん制した。
連邦政府の支出や人員の削減を進めるマスク氏に反発するかたちで、全米でテスラの車や関連施設を放火する事件が広がっている。トランプ政権は「左派によるテロ行為」と指摘。FBIによる捜査に乗り出している。

テスラ充電設備への放火(サウスカロライナ州)
司法省に起訴された3人のうちの一人、ダニエル・クラーク=パウンダー被告がテスラの充電ステーションに火を放った疑いで起訴された。
監視カメラ映像や自宅から押収された衣類などの証拠により、関与が裏付けられたという。
被告は、スプレーでトランプ米大統領に対する侮辱の言葉やウクライナを支援するメッセージを書いたうえで、火をつけたビール瓶を施設に投げ込んだとされている。被告人の自宅から政府効率化省(DOGE)への批判が書かれたノートも発見された。
クラーク=パウンダー被告は3月17日に保釈されたが、審理は今後も続く予定である。弁護士はコメントを出していない。
火炎瓶と発砲による攻撃(オレゴン州)
司法省に起訴された3人のうちの一人、アダム・ランスキー被告がテスラの販売店と車両にモロトフカクテルを投げつけ、約50万ドル(約7,500万円)の損害を与えた疑いで起訴された。
さらに2月には再び現場を訪れ、銃を発砲したとされている。現場で見つかった物品から、ランスキー被告の指紋が検出された。
初出廷時、同被告は予備審問と起訴状の読み上げを放棄し、「危険人物」として勾留された。弁護人は取材に応じていない。
看板への落書きと放火未遂(コロラド州)
司法省に起訴された3人のうちの一人、ジャスティン・トーマス・ネルソン被告が、テスラ販売店の看板にスプレーで「ナチス」と落書きし、放火を試みた疑いで起訴された。
放火は2月2日に行われ、同月24日に現場で逮捕された。また、1月には展示中の電動トラック「サイバートラック」付近で火を放とうとした疑いもある。
ネルソン被告は3月11日の審理で無罪を主張し、公判は5月に開始される予定である。
3人の被告はいずれも、有罪となれば最低5年、最長20年の懲役刑が科される可能性がある。
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