米上院、中国共産党への利益供与を禁止する修正案を可決

2023/11/02 更新: 2023/11/02

米上院は10月31日、退役軍人省や農務省など各省が連邦政府資金を使用して、中国の団体に助成金などを提供することを禁止する修正案を61対36の賛成多数で可決した。

法案は中国を拠点とする団体やその子会社に対する「助成金、資金提供、あらゆる財政的利益」を提供するための充当資金の使用を禁止する。資金提供が禁じられる政府機関は、退役軍人省や農務省のほか、運輸省と住宅都市開発省も対象となる。

修正案を提出した共和党のジョシュ・ホーリー議員は「我々の歳出予算は決して中国企業や、中国が所有し支配している企業に渡ってはならない。これらの税金は米国企業、そして同盟国に使われるべきものだ」と強調した。

一方、一部議員からは修正案がもたらす影響に対して、懸念する声が上がっている。

民主党のパティ・マレー議員は、この修正案は「広範囲に及ぶ、意図しない結果」をもたらす可能性があり、各省庁の職務遂行能力を複雑にしかねないと警告した。

同氏は退役軍人省が医薬品や医療機器といった必要不可欠な製品を入手する際に困難が生じることや、学校給食の一部を中国企業が所有する食肉生産・加工会社スミスフィールド・フーズから調達していることを挙げ、「慎重に検討すべき」と訴えた。

これに対してホーリー氏は、中国からデカップリングすることは必ずしも否定的な結果をもたらすことはないと強調。「中国から給食や医薬品を買い、中国依存したいのか? 私はそうは思わない」と一蹴した。

警戒を怠らない

ここ数カ月、米国は特に食料供給に関して、中国の米国内における影響力を制限しようとしてきた。

10月17日、アーカンソー州は、中国共産党傘下の中国化工集団が所有するシンジェンタ・シード社の子会社ノースラップ・キング・シード社に対し、州内の農地の売却を命じた。

7月には、中国やその他の敵対的国家が米国の農地を買い占めることを禁止する国防権限法の修正案を可決した。

また、ジーナ・レモンド米商務長官も9月のCNNのインタビューで、バイデン政権は「米国の国家安全保障を傷つける可能性のある中国の対米投資を警戒している」と発言。「中国資本による米国の土地購入が国家安全保障を損なう恐れがあれば、それを止めるべき」だと強調した。

米国政治・時事を担当する記者
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