中共国家安全部が「中国経済に否定的意見を出す者は全員厳罰化する」と警告した意味

2023/11/12 更新: 2023/11/12

中国共産党の防諜機関である国家安全部が「中国経済について否定的な意見、分析を出す者を強力に処罰する」と警告した。

中国国家安全部は2日、ソーシャルメディアWechatの公式アカウントに「国家の金融安定性を維持・保護するために全力を尽くす」とした上で「金融分野を綿密に注視し、違法行為と潜在的な危険要素などを先制的に把握する」と強調した。

具体的には中国の景気後退や経済危機を予測する者、中国から海外に資金を流出させたり、これに関与して中間利益を得る者などが該当するとし、「このような金融犯罪を法律に基づいて処罰する」と明らかにした。

中国分析の専門家は、経済問題に関する中国政府の異例の警告に注目し「中国経済が『危険なポイント』に達したというシグナル」と口をそろえる。

米国で活動する時事評論家の唐靖遠氏は4日、自身のYouTubeトークショーで「このような動きは習近平国家主席の命令によるものと見られる。防諜機関である中国国家安全部が金融や経済分野に干渉したことはほとんどない」と伝えた。

その上で「世界のどの国も諜報機関に経済問題を任せない。諜報機関が国家の経済や金融を統制するようにするのは前例のない措置だ」と指摘した。

金融問題

先月31日、習近平国家主席は全国金融工作会議で「金融リスクを予防・解決することは政府の永遠のテーマであり、あらゆる面で監督を強化する」と公言した。

米国で活動する経済学者の李恒清氏は2日、エポックタイムズとのインタビューで「習近平氏の発言を含め、金融工作会議で出されたすべての政策や目標が実際に効果を発揮することを期待するのは非常に難しい」と述べた。

また「現在、中国の金融システム全体が深刻な危険にさらされており、その不安定なシステムはいつ崩壊してもおかしくない」と説明した。

米国ニューヨークの時事評論家、李林氏はエポックタイムズ紙に「中国の金融分野は債務リスク、不動産危機など多くのリスクに直面している。その中で最も大きなリスク要因は資本流出だ」と分析した。

グローバル投資銀行ゴールドマン・サックスのデータによると、2023年9月の中国の資本純流出規模は、前月より約80%増加した750億ドル(約11兆3千19億円)と把握された。これは2016年以来の最大規模だ。

唐靖遠氏は「習近平氏は、中国経済が直面している問題には2つの根本的な原因があると考えている。1つは米国が『通貨覇権』を通じて中国を抑圧することであり、もう一つは中国経済を食い物にする中国内部の人々だと習氏は言う」と明らかにした。

続けて「このような理由から中国共産党が彼らを牽制し、監督し、取り締まろうとするのだ」と付け加えた。

李氏は「中国の新しい金融関連政策は、すでに中国内部で『金融大乱』が始まっていることを示している」とし「中国共産党は中国経済を否定的に見る人々を罰するだけでなく、資本流出に関与する人々も恣意的に逮捕するだろう」と予想した。

その上で「このような強圧的な措置は、中国人と外国人投資家の信頼を低下させ、資本流出をさらに加速させる悪循環につながるだろう」と明らかにした。

Alex Wu
エポックタイムズの在米ライター。専門は中国社会、中国文化、人権、国際関係。
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