言論の自由への懸念高まる
ユネスコの計画に対する認識が広まるにつれ、ネット上での言論の自由や表現の自由への影響に対する懸念が高まっている。
個人の権利と表現財団(FIRE)の上級研究員であるサラ・マクラフリン氏は警戒感を示した。
「FIREは、ユネスコのソーシャルメディアに関する新たな行動計画に関して、透明性の価値と表現の自由を保護する必要性を認識していることは高く評価するが、オンライン上の『偽情報』や『ヘイトスピーチ』を規制しようとする取り組みには深い懸念を抱いている」とエポックタイムズに語った。
「ここ数週間で見られたように、例えばEUのデジタルサービス法の施行は、プラットフォームのコンテンツモデレーションポリシー(投稿監視の規範)や、ユーザーがオンライン上で自由に発言する能力について、さらなる不確実性を生み出している。現地の法的規制や規範は、最終的にプラットフォームが世界規模でどのように運営されるかに影響を与える可能性がある」
「世界各国がインターネット上の言論規制を強化するにつれ、プラットフォームがそのような規制を実施する国以外のユーザーに影響を及ぼす可能性はますます高まっている」
実際、欧州全土での「ヘイトスピーチ」に対する規制は、結婚、移民、セクシュアリティ、宗教などの問題に関する言論を封じるためだけでなく、言論法に違反した者を訴追するためにも使われるようになってきている。
今月、フィンランドの国会議員で元内務大臣のパヴィ・ラサネン氏が、同性愛と結婚についての聖書的理解を支持するオンラインスピーチをめぐり、数年にわたる「ヘイトスピーチ」訴追の末に勝利を収めた。
ポーランドでは、欧州議会議員数人が、欧州へのイスラム系移民の大量流入がもたらす影響について警告する政治広告をシェアしたことで、「ヘイトスピーチ」の罪に問われている。
批評家にとってさらに厄介なのは、「ヘイトスピーチ」という概念そのものは、ソ連によって国連に持ち込まれたものであるということだ。「ソ連は反共産主義者の言論を定期的にヘイトスピーチと表現していた」と、ジェイコブ・ムチャンガマ氏が2011年にスタンフォード大学のフーバー研究所への寄稿文で説明している。
「言論の自由を求める市民の会」の創設者兼会長のパトリック・ウッド氏は、ユネスコの計画は、そのアジェンダに対する批判者を黙らせるために必ず利用されると警告した。
「ユネスコが『世界的な幅広い協議の結果であり、グローバルな世論調査によって裏付けられている』などと言い出したら、もうおしまいだ」とエポック・タイムズに語った。
「その場合、アジェンダに反するとみなされる言論を検閲するグローバル・プログラムの洪水につながるだろう」
ジョージ・ソロス氏が出資する電子フロンティア財団(EFF)にコメントを求めたところ、「ユネスコの計画についてコメントできる人物はいない」とのことだった。同財団は、言論の自由を擁護する「第一線の非営利団体」を自称している。
言論の自由をめぐる国連の姿勢に対する懸念は、近年高まっている。特に、国連指導部に代理人を擁する加盟国の多くが、反対意見を弾圧することで知られている。
ユネスコは昨年、教育を通じて「陰謀論」や「誤情報」と闘う計画を発表した後に、新たな計画も発表した。
同団体によれば、「陰謀論」は、「公的機関への信頼低下」を招き、「二酸化炭素排出量の削減」への意欲を低下させる、といった問題を引き起こす可能性があるという。
昨年報告書で引用された「陰謀論」の例には、「気候変動の否定」や、米国における「連邦選挙の操作」に対する懸念といった広く受け入れられている意見から、地球平面説や、「ミシェル・オバマは実はトカゲだ」といったより奇想天外な言説まで含まれている。
メリッサ・フレミング国連事務次長(グローバル・コミュニケーション担当)は昨年、世界経済フォーラムのイベントで講演し、グローバル組織がグーグルと「提携」し、検索結果でグーグルの資料を宣伝し、それに反するものを抑制していることを、得意げに伝えた。
「私たちが科学を所有している。世界はそれを知るべきだ」と述べた。
2020年10月の世界経済フォーラムのポッドキャスト「インフォデミック(大量の情報が氾濫するなかで、不正確な情報や誤った情報が急速に拡散し、社会に影響を及ぼすこと)の治療法を求めて(Seeking a cure for the infodemic)」の中で、フレミング氏は、10万人以上のボランティアを動員して国連の見解を増幅させつつ、それとは相容れないナラティブ(彼女はそれを「誤情報」と呼んだ)を封じ込めたことを自慢した。
国連や政府が何年もかけて、グローバル組織がネット上の「過激主義」や「誤情報」などと表現しているものを抑圧すべく努力してきた末に、このことが暴露された。
2016年、国連安全保障理事会は、暴力につながる可能性のある「イデオロギー」との戦いを約束した前年のプログラムに続き、オンライン上の「過激主義」と戦うための「枠組み」を立ち上げた。対象となるイデオロギーの中に、共産主義はなかった。
ユネスコが計画を擁護
ユネスコの広報担当者は、この新計画を、表現の自由を制限する計画というよりも、むしろ表現の自由を守るための努力であるとして擁護した。
「表現の自由を保護することは、何十年もの間、コミュニケーションにおけるベストプラクティス(最善の方法)を推進するユネスコのすべてのイニシアチブ(主導権)の中核をなしてきたものであり、この原則は、当初からガイドラインへの我々のアプローチを支えていた」とスポークスマンは述べた。
声明はまた、 「ヘイトスピーチ」に対処する際、「法的デュープロセス(法の適正な手続き)」を遵守するよう求めるガイドラインのセクションを指摘した。
広報担当者は、「この計画は、透明性、体系的な人権適正評価と影響評価、利用者への説明責任の必要性に特に重点を置いている」と述べ、「モデレーション能力の平等な分配」を求めていると付け加えた。
「ガイドラインは、取捨選択するのではなく、全体として考慮されるべきであると明記されている。例えば、ガイドラインに規定されている独立性の定義を満たさない規制当局が実施するコンテンツモデレーションに関する方針は、その方針の具体的な性質にかかわらず、整合性を欠くことになる」とユネスコの広報担当者は述べ、ガイドラインは表現の自由を実際に「拡大」するものだと主張した。
同組織は実施までのスケジュールを示さなかったが、2024年9月にニューヨークで開催される国連サミットに向け、さらなる会議が予定されている。
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