米政権、学生ローン7千億円免除 大統領選に向け支持獲得

2023/12/08 更新: 2023/12/08

米国のバイデン大統領は6日、新たに8万300人を対象に48億ドル(約7千億円)の学生ローンの返済を免除すると発表した。これにより、累計で約360万人、1320億ドル(約19兆320億円)分が免除されることになる。2024年の大統領選挙に向け、有権者にわかりやすい実績を示し、支持を広げる狙いだ。

バイデン氏は声明で「学生ローンの借り手が夢を実現するために必要な救済を得るために、あらゆる手段を駆使することから引き下がるつもりはない」と述べた。米連邦最高裁は7月、バイデン政権が打ち出した学生ローンの返済免除措置について「無効」との判断を示しており、同氏はこれに対抗する姿勢を鮮明にした。

今回の学生ローン免除には、公共サービスローン免除(PSLF)スキームの3万4400人分の奨学金26億ドル(約3773億円)と、所得主導返済(IDR)プランの一括返済調整の4万6千人分の奨学金22億ドル(約3259億円)が含まれる。

バイデン氏の学生ローン免除措置をめぐっては、学生ローンを返済した人や大学に進学しなかった人から「不公平」との声が上がっている。上院トップのマコネル院内総務は免除措置は「社会主義」だと批判し、犠牲を払った米国人の顔に「泥を塗るものだ」と批判した。

大統領選挙

バイデン政権が発表した学生ローン免除措置は、バイデン氏の再選出馬を後押しする可能性があると、一部の政治戦略家は指摘する。

クレアモント・マッケナ・カレッジの政治学者ジョン・ピトニー氏は、今年初め「ニューズウィーク」誌に「若い借り手にとって、それは人生を左右する問題だ。そのため彼らは投票にいくだろう」と語った。

共和党の大統領候補は、学生ローン免除に反対の声を上げている。

トランプ前大統領は6月、選挙イベントで免除は「勤勉に働いて借金を支払った何百万、何千万という人々にとって非常に不公平だ」と述べた。

トランプ氏を追う2位のフロリダ州のロン・デサンティス知事は、納税者が他人の借金の負担を強いられるのは間違っていると発言した。

現在3位につけているニッキー・ヘイリー元国連大使も、学生の借金を帳消しにすることは、ローンを返すために懸命に働いた人たちにとって不公平だと訴えた。

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。
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