2024年の金価格は史上最高値更新か 2300ドルも

2024/01/06 更新: 2024/01/06

金価格が高騰した2023年に続き、2024年も「安全資産」と言われるが過去最高値を更新する可能性があると専門家らは示唆している。

2023年、金価格は1オンスあたり約1823ドル(約26万3千円)から約2062ドル(約29万8千円)へと13%以上上昇し、2020年以来、史上最高値を更新した。12月4日、金は記録的な高値となる1オンスあたり2135.40ドル(約30万8千円)を記録した。2024年も金価格は上昇すると専門家は予想している。

サクソバンクオーレ・ハンセン氏は、「2023年の驚くほど堅調なパフォーマンスに続き、2024年は、ヘッジファンドを追いかける勢い、中央銀行が堅調なペースで金を買い続けること、そして、特に上場投資信託(ETF)投資家からの新たな需要という三要素によって、さらに価格が上昇すると見ている」と述べた。ロイター通信が報じた。

米金融大手JPモルガンは、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げにより、金は今年半ばから「大幅な上昇」を見せ、2300ドル(約33万2千円)を記録すると予想している。一方、スイス金融大手UBS は、利下げが実施された場合、金価格は今年末までに2150ドル(約31万円)に達すると予想した。

世界的な有事などの影響を受け、2023年は金相場に大きな浮き沈みが見られた。5月には米国の銀行危機が発生し、10月初旬には金価格が1オンスあたり1810ドル(約26万1千円)の安値まで下落した。しかし、同月にイスラエル・ハマス戦争が勃発して以来、安全資産とされる金に投資家が資金を逃避させていることから、金価格が上昇している。

金価格に連動する上場投資信託(ETF)のSPDRゴールド・シェアは11月に差し引きで10億ドル超の資金が流入し、一昨年3月以降で最大の資金流入となった。不透明な状況の中で金に対する投資家の信頼が高まっていることが浮き彫りにとなった。

金の国際調査機関ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が昨年10月に発表した情報では、各国の中央銀行が2023年の第1〜第3四半期にかけて、前年同期の購入量より14%多い計800トンの金を購入したことが明らかになった。

同機関が昨年5月に発表した調査によると、過半数の中央銀行が、今後5年間で総準備高に占める金建ての割合が増加し、金価格を押し上げると予想している。

金と経済のシナリオ

WGCの報告書は今年の金価格について、経済シナリオの展開に応じて、3つの予想をしている。

まず1番目の予想では、米経済が軟着陸(ソフトランディング)した場合、金価格は「上昇の可能性を伴って横ばい」にとどまるとした。なお、軟着陸する確率は45~65%としている。

2 番目の予想では、米経済が強行着陸(ハードランディング)し、景気後退に陥った場合、金価格は「顕著に上昇」し、過去最高値を更新するとした。強行着陸の可能性は25~55%としている。

3 番目の予想では、米経済が低迷なしに着実に成長する無着陸(ノーランディング)と仮定すると、金価格が「横ばいで推移して落ち」、下落圧力がかかるとした。無着陸の確率はわずか5〜10%としている。

WGCの報告書は「無着陸シナリオが発生する場合、金にとっては困難な状況になる可能性がある。プラスの経済成長は消費者の需要を支え、インフレ率の上昇はヘッジの必要性を高めるが、2023年9月のときのように、金利上昇と米ドル高の組み合わせが足かせとなる可能性が高い」と述べた。

「しかし、インフレが再び急上昇すれば、さらに強力な金融反応が引き起こされる可能性がある。その結果、将来的には強行着陸の懸念に戻り、戦略的な金配分の有力な根拠となるだろう」

WGCは2024年に米国、インド、欧州連合、台湾における選挙が地政学的リスクとなると予想している。そのため「投資家のポートフォリオヘッジの必要性は通常よりも高まる」とした。

「景気後退の可能性は小さくない。リスク管理の観点から見ると、戦略的にポートフォリオに金を組み入れるケースが増えるだろう」

ダウンサイドリスク

多くの専門家が金に対して強気である一方、注意を払うよう助言する専門家もいる。U.S.バンク・アセット・マネジメント・グループのシニア投資戦略ディレクター、ロブ・ハワース氏は先月のヤフー・ファイナンスのインタビューで、金利低下とFRBの利下げに対する投資家の期待が金価格の急騰に寄与していると指摘した。

「問題は、こうした傾向が維持できるかどうかだ。米国経済は依然として成長を続けており、FRBが利下げを検討する兆しはほとんどないため、金への短期的な需要は弱まる可能性が高い」

米ドルの強さは、金価格の重要な変動要因と言える。JPモルガンは、米ドルが2024年も「高水準」を維持し、「最高値」を更新する可能性があると示唆している。

英語大紀元記者。担当は経済と国際。
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