米司法省 FRBパウエル議長に対する刑事捜査を開始

2026/01/12 更新: 2026/01/12

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は1月9日、大陪審からの召喚状を司法省から受け取ったと明らかにした。

1月11日夜に発表した声明でパウエル氏は、2025年6月に上院銀行委員会で行った証言をめぐり、刑事起訴の可能性をちらつかせる圧力を当局から受けていることを確認した。同氏によると、この証言は「歴史的なFRB庁舎の改修に関する複数年にわたるプロジェクト」に一部触れたものだったという。

パウエル氏は、今回の刑事捜査が自身の証言や改修工事を理由としたものだという見方を否定した。

「私は法の支配と民主主義における説明責任を深く尊重している。FRB議長であっても、誰一人として法の上に立つ者はいない」と述べた上で、「こうした前例のない措置は、政権による脅しや継続的な圧力という、より広い文脈で捉えるべきだ」と強調した。

さらに「これらの理由は口実にすぎない。刑事訴追を示唆する動きは、FRBが大統領の意向ではなく、公益に資するとの最善の判断に基づいて金利を設定していることへの報復だ」と語った。

この発言は、連邦検察がパウエル氏に関する捜査を開始したとの報道が出た数時間後に行われた。

昨年夏、FRBは本部ビル改修をめぐり強い批判を浴びた。大統領や政権高官は、ワシントンのナショナル・モールにあるマリナー・S・エクルズ・ビルおよび1951コンスティテューション・アベニューの改修費が過大だと非難していた。

トランプ氏は2025年7月、パウエル氏とともに工事現場を視察したが、費用超過の見積もりをめぐって両者は対立した。

改修計画が2017年に承認された当初の予算は19億ドルだったが、インフレ、アスベストや土壌汚染への対応、工期の長期化などにより、現在は25億ドルに膨らんでいる。トランプ氏は、当初予算からさらに6億ドル増えたと指摘した。

これに対しパウエル氏は、報道陣の前で「その件については承知していない。FRBの誰からも聞いていない」と反論した。

改修問題に加え、トランプ氏は、パウエル氏らが他の先進国の中央銀行のように、より積極的に利下げを行っていないことにも不満を示してきた。FRBは昨年9月以降、政策金利を0.75%引き下げたが、トランプ氏は2025年12月の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し、企業や家計の借入金利に影響する主要政策金利であるフェデラルファンド金利は「1%、あるいはそれ以下にすべきだ」と語った。

パウエル氏の任期は5月に満了する。後任人事の検討は続いており、ベッセント財務長官は今週、ミネソタ経済クラブで、大統領が今月中に判断を下すと述べた。

予測市場では、元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏が44%の確率で最有力視されており、国家経済会議(NEC)委員長のケビン・ハセット氏を上回っている。

また、連邦最高裁は1月21日、FRB理事リサ・クック氏をめぐる訴訟について口頭弁論を行う予定で、大統領が理事を理由なく解任できるかどうかが争点となる。

トランプ氏は昨夏、住宅ローン詐欺疑惑を理由にクック氏の解任を試みたが、最高裁は暫定的にこれを差し止め、クック氏は職にとどまっている。

これらの発表を受け、アメリカ株の先物取引はそろって下落に転じた。米ドル指数は0.2%超下落し、米国債利回りはまちまちの動きとなった。

アンドリュー・モランは10年以上にわたり、ビジネス、経済、金融について執筆。「The War on Cash.」の著者。
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