中国では今や、どこの地方政府も深刻な財政難に直面している。
役所だけでなく、各企業の経営も同様である。その影響により、公務員や学校の教師、路線バス運転手から町の清掃員、ゴミ回収員に至るまで、各地で「給料未払い」の事態が常態化している。
これに対して、労働者が横断幕を掲げたり、ストライキで抗議する光景は、中国の全土にあふれている。
ただし、労働者のストライキといっても、彼らが求めているのは今後の賃上げではなく、すでに働いた分にあたる「正当な報酬」である。それが支給されないため、生活が困窮し「給料の支給を求める」スローガンを掲げて抗議しているのだ。
そのようななか、地方政府のある部門が「マヒ状態」に陥っていることを示す動画がネットに相次いで投稿されている。ここで言う「ある部門」とは、市内の清掃とゴミ回収のことだ。
今月9日、ゴミを回収し、街を清掃する要員がいないため、街中にゴミがあふれる湖南省湘潭市の様子を捉えた動画がネットに投稿されて、物議を醸している。
その光景は、まさに「この世の地獄」である。動画を見ると、ゴミだらけとなった湘潭の町を走る車が、路上に飛び出すゴミをよけながら、慎重に運転しなければならない様子だ。
(ゴミを回収する要員がいないため、ゴミがあふれる湖南省湘潭市の町の様子。2024年1月9日撮影)
「ゴミ通り」の近くの商店の主人によると、「この通りは、すでに6日間も清掃されていないため、ゴミだらけだ。私の店は、所定の管理費200元(約4千円)をきちんと支払っている」という。
地元政府によると、街の清掃作業とゴミ回収は外注しているが、近年の財政難により政府は外注した会社に300万元(約6千万円)以上の支払いができていない。
そのため、地元政府は街の商店に「衛生費」の一部を負担するよう求めた。しかし、一部の商店が「自分たちで管理する」と主張して、衛生費の一部負担を拒否した。すると、政府側は「もう当該の通りのゴミ回収および清掃をしない」と反発し、余計に問題がこじれてしまったという。
この件について、複数の中国メディアが関連報道をしていたが、後に全て削除されている。そのため、町にあふれたゴミが最終的にどうなったかはわからない。
関連動画をめぐり、ネット上では「商店が支払った管理費(ゴミ清掃業務を含む)や市民が納めた税金はどこへいった。商店に、清掃費用を上乗せ負担させようなんて、馬鹿げている」といった批判が殺到しているほか、「清掃会社に支払う金がないと言うが、町役人の給料は支給したのか」といった皮肉まじりの非難も目立つ。
これに先立ち、中国各地で、ゴミが散乱する町の様子や学校宿舎内の動画がネットに多数流出していた。
そのようなゴミだらけの惨憺たる状態になった原因は、いずれも地元政府から「清掃会社に支払うお金がない」からである。
(広東省で。町の清掃業者は、給料が支給されないため集団でストライキした。そのために、町はゴミが散乱していた)
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