欧州連合(EU)の環境規制をめぐり、各国で農家による抗議が頻発している。
フランスの農家の人々は1月29日、パリへの主要道路を封鎖した。
また同日、ベルギーの首都ブリュッセル周辺では怒ったベルギーの農家たちが交通を妨害し、約12台のトラクターが市内のEUエリアに乗り入れてクラクションを鳴らした。
さらに30日、彼らはEUの環境政策、農業コストの上昇、安価な輸入食品への怒りを表明するため、ベルギー第二の港であるゼーブルージュへの道を封鎖した。
今年に入ってから、EU各国で農家のデモが頻発している。
今月初めには、ドイツでベルリン中心部の大通りがトラックやトラクターで埋め尽くされ、交通がほぼ停止した。またルーマニアの農民とトラック運転手もウクライナとの国境を封鎖し、高いビジネスコストに抗議する行動を起こしている。
抗議する理由
彼らは何に抗議しているのだろうか
EU最大の農業生産国、フランスの主張を聞いてみると、フランス農家は、自分たちが十分な報酬をもらえず、過剰な環境規制によって抑圧されていると言っている。食料価格の交渉などはフランス特有の問題だが、安価な輸入品との競争や環境規制などは他のEU諸国の生産者とも共通している。
コスト
またフランス農家は、食料インフレを抑えるために政府と小売業者が講じた一連の措置の結果、多くの生産者がエネルギー、肥料、輸送コストの高騰に対応できなくなったと述べている。
さらに、政府がより広範なエネルギー転換政策の一環として、農家に対するディーゼル燃料の減税措置を段階的に廃止するという計画もこうしたデモの引き金となっている。
こうした農家の支出を増やす政策に対してEU内の農家は怒っている。ドイツの首都ベルリンでは、増税や農業補助金の削減計画を受け、抗議デモが起きた。
安価な輸入品
またロシアによるウクライナ侵攻以来、EUはウクライナに対して多くの輸入関税を免除してきた。また、EUと南米最大の経済統合組織であるメルコスール(南部共同市場)との貿易協定交渉が再開されたことで、砂糖、穀物、食肉分野での不公正な競争に対するEU内の農家の不満が高まっている。
農家らは、これらの輸入品が欧州の価格を圧迫し、その一方で、EUの農家に求められる環境基準を満たしていないことに不満を抱いている。
環境規制
EU内の農家は、農地の4%を休耕地とすることが義務づけられるなどの補助金規則が適用されており、こうしたEUの政策実施に当たるフランスのやり方にも反対の声が集まっている。
こうした中、太陽光発電やバイオ燃料などを積極的に導入・拡大し、環境を守りながら産業構造を変革するという「グリーン政策」は、ロシアによるウクライナ侵攻を考慮すると、食糧やその他の必需品の自給率向上という目標とは矛盾していると考えられている。
抗議活動の進展
フランス政府は1月26日、農家に対するディーゼル燃料の増税決定を取り消すと発表し、(出血性赤血球)病に罹患している南部の牛を含む農家に対して、追加的な支援を提供する措置を提案した。
しかし、一部の農家組合は抗議の継続を求めている。一部の地域では暴力事件も発生しており、政府は抗議行動に寛容な姿勢を崩さず、数日以内にさらなる対策を講じることを約束している。
ベルギーのアレクサンダー・デクロー首相は30日に農民代表と会談した。 「彼らの言い分を聞くことは非常に重要だ」と記者団に語り、農民が直面する課題について言及した。
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