パナマのダリエン地峡にある4つの大規模な移民キャンプの1つ、バホチキートを訪れてまず最初に気になるのは、熱帯の太陽に焼かれたゴミと人間の排泄物が放つ悪臭だ。
それから、疲れ果てた移民の行列を目の当たりにすることになる。コロンビアの危険なジャングルを超えてきた彼らは、そこでパナマ当局の手続きを待っている。
眉間にしわを寄せ、心配そうに並んでいる少年もいる。木材やトタンで作られたボロボロの建物をぼんやりと見つめる者もいる。高温多湿の厳しい環境下で、彼らは辛抱強く待っている。
彼らのほとんどは、国連および関連する非政府組織(NGO)、さらには米国に敵対する政権から支援を受け、米国にやってくる。
それらの移民は武器として使われており、米国をめがけて飛んでくるミサイルと同様に致命的だと専門家らは指摘している。
米シンクタンク「安全な自由社会のためのセンター( Center for a Secure Free Society)」の理事を務め不正規戦について研究するジョセフ・ヒューミア氏は、大量移民は、国内に押し寄せて米国を不安定化し、最終的には解体すべく「武器化」されたものだと指摘している。
「だからこそ、『侵略』という言葉がふさわしいと思うのです」とヒューミア氏はエポックタイムズに語った。
駒にされる移民たち
2月、エポックタイムズはパナマの4つの移民キャンプ(ラハス・ブランカス、バホチキート、サンビセンテ、カナーン・メンブリージョ)をすべて訪問した。
国連と関連するNGOは、米国民が納めた何百万ドルもの税金を受け取り、移民に水や食糧、シェルターを提供することで、大量移民を容易にしてきた。
エポックタイムズ 記者らは、中国、ソマリア、ベネズエラ、エクアドル、コロンビアからの移民や、コロンビアからパナマへと続く危険なジャングルを踏破した人々から話を聞いた。
キャンプでは多くの人が塹壕足や手足の骨折などの怪我や病気に苦しんでいた。NGOが運営するキャンプでは水が処理されておらず、オムツなどの必需品が不足していると訴える者もいた。またある移民は、キャンプで支給される食料は古かったり腐っていたりするので、地元の業者から7ドルかけて食事を買ったとエポックタイムズ に語った。
また、旅の途中で強盗に襲われたり、北へと向かうバス代60ドルを払えなかったりしたため、キャンプで足止めを食らったという者もいた。
バイデン政権下の米国では、トランプ時代の政策が撤回または廃止されたため、不法移民の数が急増している。
米国国土安全保障省 税関・国境取締局 (CBP)のデータによると、2022年度には全米で270万人を超える不法移民が米国国境で確認された。
2023年、その数は320万人を超えた。
ジョー・バイデン大統領も、国連の「安全で秩序ある正規の移住のためのグローバル・コンパクト(GCM)」への支持を表明している。GCMは、2018年に152か国が承認した世界規模の移住管理計画だ。
2021年12月付の米政府の声明には、「バイデン=ハリス政権は、米国への移住を含め、世界中で安全かつ秩序ある人道的な移住を約束する」と記されている。トランプ政権はGCMに反対票を投じていた。
共産主義の専門家で、エポックタイムズの番組 「Counterpunch」で番組ホストを務めるトレバー・ラウドン氏は、ほとんどの移民は自分たちが弾薬としての役割を担っていることに気づいていないと指摘している。
ラウドン氏によれば、パナマの「知識の街」(米軍基地の跡地に位置する国際学術地区)で働く国連とNGOの職員らは、移民たちを暴力や怪我、死、病気にさらしてきたという。
「それらの官僚たちは、これまで人類に対して行われた最大の犯罪の1つを助長していながら、高給をもらい、地元の良いレストランで食事をして、快適な時間を過ごしています」とラウドン氏は述べた。
パナマの元国境局長オリエル・オルテガ氏は、NGOは移民を促進するのではなく、彼らを自国で教育し支援すべきだとエポックタイムズに語った。
エポックタイムズはパナマ滞在中、「知識の街」にある複数の国連機関を尋ね、国連とヘブライ移民支援協会(HIAS)の関係者にインタビューを試みたが、失敗に終わった。
ある国連事務所では、記者が数回にわたりドアをノックし、ベルを鳴らしたところ、必死に身を隠そうとする職員たちをブラインド越しに確認できた。
移民たちは、鬱蒼とした熱帯雨林、険しい山々、厚い泥、湿地帯を越えるのがいかに疲れるか、いかに危険かを語った。殺人やレイプに関する話や、絶望を味わった経験談もあった。
NGOが報告する推定死亡者数はおそらく実態より少ない。米国赤十字社は、2023年上半期にダリエン地峡を横断した60人が死亡したと報告しているが、ジャングルにいた人々から話を聞く限り、その数は毎年数百から数千人にのぼるという。
ジャングルを通ってパナマに移動する大量移民を取材してきた従軍記者のマイケル・ヨン氏は、この旅をする人々の推定約1%が死亡しているとエポックタイムズに語った。
2月18日、バホチキートのキャンプで、あるベネズエラ人の移民が通訳を通してエポックタイムズの取材に応じた。トタン屋根のシェルターの日陰に座っていた彼は、「自分は幸運だと思う」と語った。「地獄」のようなダリエン地峡の旅で、強盗に襲われただけで済んだからだという。
輪姦から妻を守ろうとして頭を撃たれた男性を目撃したと、彼は語った。
ベネズエラ人女性のファビオラ・スアレスさんからも話を聞いた。彼女はコロラドにいる夫と再会するためにダリエン地峡を歩いてきたという。気落ちした様子だった。
彼女もまた、自分が幸運だと考えていた。
彼女は移民を狙う犯罪者からレイプされそうになったが、彼女のグループには十分な人数がいたため、襲撃を食い止めることができたという。
「グループの人数が多かったので、彼らはやらなかった」と彼女は通訳を介して語った。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。