アストラゼネカを退職したある女性が、COVID-19ワクチンの接種を拒否したことで解雇された後、失業給付金を請求した。
最高裁は、宗教上の理由からワクチン接種を拒否し、結果としてアストラゼネカに解雇された元営業マネージャーの上訴を審理することを拒否した。アストラゼネカは、CovishieldやVaxzevriaとして知られるオックスフォード・アストラゼネカSARS-CoV-2ワクチンを製造している。また、胃食道逆流病を治療するNexium(ネキシム・エソメプラゾール)も手掛けている。
1年前、同社の中国部門のトップが「中国で愛国的な企業として、共産党を愛する」と発言し、西側での同社の評判に悪い影響を与えた。
最高裁は、「ゲーデ氏対アストラゼネカ・ファーマシューティカルズ社(Goede v. AstraZeneca Pharmaceuticals LP)」事件に関する審査の請求を、無署名の命令で却下した。反対意見は出されなかった。裁判所は、その決定理由を公表しなかった。裁判官たちは、2月16日と3月28日の非公開会議でこの請求を検討した。口頭弁論に進むためには、9人の裁判官のうち少なくとも4人の賛成が必要だ。
この決定により、ミネソタ控訴裁判所の2023年6月の判決が維持され、ティナ・ゲーデさんのワクチン拒否は「雇用上の不正行為」とみなされ、彼女の失業給付の資格を失わせた。この判決は、2023年9月にミネソタ最高裁判所によって支持された。
ゲーデさんは、アストラゼネカが彼女の「深く信じる宗教的信念を尊重せず、中絶された胎児の細胞を使用して開発されたと信じるCOVID-19ワクチンの接種を拒否したために解雇した」と主張して、2023年12月18日に最高裁に請願を提出した。彼女は自分の体を「聖霊の神殿」と見なし、ワクチンが体に害を及ぼすと信じている。
彼女はプロライフ(中絶反対者の総称)派のカトリック教徒で、「中絶は未誕生の命の奪取であり、中絶された胎児から得られた細胞株を用いた医療介入によって罪に加担することはできない」との信念を持っている。
ゲーデさんは、これらの信念を20年間守り続けており、受ける可能性のある医療介入が中絶に関連する材料を含んでいるかどうかを10年間慎重に調査してきた。
彼女は10年前、市販の鎮痛剤を服用するのをやめた。その理由は、「それらが中絶された胎児の細胞株でテストされている」との信念に基づくものだった。彼女は、「自分の命を救う以外の目的で、中絶された胎児の細胞株でテストされた、またはそれから派生した物質を使用することはできない」と断言した。
給付金の請求が却下される
ゲーデさんが失業手当を求めたところ、最高裁訴訟の被告でもあるミネソタ州雇用経済開発局は、「不当に」彼女の給付請求を拒否した、と文書にある。
ゲーデさんはミネソタ控訴裁判所に控訴し、給付金の拒否が自身の合衆国憲法修正第1条の権利に違反すると主張したが、裁判所は裁判官の判断を支持し、彼女の主張を退けた。その後、ミネソタ最高裁判所に控訴したが、請願は却下された。
1月12日、アストラゼネカは請願への回答権を放棄したが、2月23日には、民主党のミネソタ州司法長官キース・エリソン氏が、部門を代表して請願に反対する意見書を提出した。
「彼女の請願では、ゲーデさんは主に既存の法律の誤用に反対しており、この裁判所がこのケースを審査するための説得力のある理由を提供していません。仮に説得力のある理由があったとしても、このケースは第一修正条項の法律を発展させるには適切ではありません」と意見書にはある。
同局は、ゲーデさんのアストラゼネカ社での勤務が発生したのは、最近のCOVID-19パンデミックの時期であったと指摘。当時、同社は従業員にCOVID-19ワクチンの接種を義務付ける方針を打ち出したが、ゲーデさんはこれを拒否した。
病院や診療所の中には、ミネソタ州のある大きな医療機関を含め、業者に対してワクチン接種を義務づけているところもあった。彼女は職務上、病院や診療所を訪問する必要があったにもかかわらず、ワクチン接種を受けていなかったため、そのような施設に出入りできなかったと証言した。
ゲーデさんは会社に予防接種の免除を求めたが却下され、2022年4月に解雇された。文書によると、予防接種方針は合理的であり、彼女がそれを守らなかったことは雇用上の違法行為にあたるというのが同局の見解だ。
失業法の裁判官は彼女の信条や宗教について詳しく質問し、彼女は神父からワクチン接種を受けないよう勧められたと証言。彼女は、ワクチンがどのように開発されたかにかかわらず、”ワクチンは効かないから “絶対に受け入れないと言った。
裁判官は、ゲーデさんがCOVID-19ワクチンの接種を受けられないとする深い宗教的な信念を持っているとは考えにくいと判断し、彼女がそう主張していることも信じがたいとの見解を示した。
彼女がワクチン接種を拒否したのは、宗教的信念ではなく信頼の欠如によるものであると裁判官は認定。従業員にワクチン接種を求める会社の権利は妥当であり、彼女の拒否は「雇用主の合理的な期待に対する明白な違反」とされた。
雇用上の違法行為で解雇された失業手当申請者は、州法上、失業手当の受給資格がないため、裁判官はゲーデさんを不適格と判断。
「最高裁による再審理を正当化するやむを得ない理由はない」と最高裁は述べている。
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