中国共産党の国家安全部が主導する研究機関は、AI技術とビッグデータを利用してカナダの華人議員の個人情報を密かに収集している。

カナダのメディアの報道によれば、専門家たちは、この活動で中国共産党がカナダの政治に影響を及ぼし、民主主義のシステムに介入する可能性があると指摘している。

「グローブ・アンド・メール」紙に掲載された記事によると、中国共産党が運営する研究所が、AI技術とビッグデータ分析を駆使して、2022年にカナダの華人議員たちの個人情報を集めたと報じられている。

この件について、カナダ議会議員のジョン・チャン氏は、自身の情報が中国共産党によって収集されていることを知らされ、ジェニー・クワン議員も、中国共産党がカナダの批判者たちの情報を収集し、個人プロファイルを作成していることに特に驚いていないと述べている。

カナダの民主主義への潜在的影響

中国系カナダ人作家の盛雪氏は、中国共産党が個人の政治的立場、趣味、弱点、家族の状況、友人関係、そしてスキャンダルの有無に至るまでの情報を詳細に把握し、必要に応じてこれらを利用して対象者を誘惑、買収、支配、または脅迫する能力があると警鐘を鳴らしている。

セルフメディアアカウントの公子沈氏は、中国共産党政府がカナダに浸透し、議員に影響を及ぼしている場合、それはカナダの国民の意志や民主主義にとって大きな打撃であり、極めて深刻な問題であると強調している。

カナダの通信安全保障局（CSE）は、この中国共産党の活動を検知し、カナダ安全情報局に通報し、関連する安全保障機関と情報を共有し、警戒体制を整える措置を講じたことを公表した。

2023年5月からは、カナダ安全情報局に議会議員やその家族に対する外国の介入への「最も厳格な監視」を行うよう命令が下されている。

公子沈氏によると、これは情報機関が長らく取り組んでいたことであり、カナダのメディアを通じて国民に伝え、現在のトルドー政権への圧力を強める戦略の一環であると述べている。

盛雪氏はさらに、中国共産党が「人類の運命共同体」という理念を推進し、広範な影響力を行使することで、カナダの対中政策に直接的な影響を及ぼすことができれば、それは中国共産党にとって明らかなメリットとなるだろうと指摘している。